【薄桜鬼】～感情のない忍び～ (ページ4)

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『初めまして。望月だ』

新選組の皆が揃ってる中、私は頭を軽く下げる。
さすが強者揃いだ。隙がない。

隙さえあれば首を取ろう、ぐらいは思ってたのだが、最初の計画通りになりそうだ。

皆とも打ち解けてきた頃、「失礼します」という高い声と共に襖が開かれた。

「お茶を持ってきました」

「ありがとな、千鶴」

土方は“千鶴”と呼ばれた少女にお礼を言う。すると、少女は少しはにかんだ後、部屋を去ろうとした。

『なぜ女性がこんな所に？』

「えっ！？」

私が問うと、少女は冷や汗をかきながら目線を泳がせる。
何か不味いことを言ったようだ。

とにかく深追いはしないことに限るので、私はそのまま淡々と告げた。

『何やら不味いことのようだな。安心しろ。内密にしとく』

すると、周りの皆はほっ、としたような表情を浮かべた。それほど不味いことだったのだろうか。
まあ、私にとってはどうでもいい。

『雪村、だったな』

「は、はいっ！」

「これから宜しくな」

そう言って、ふっ、と笑うと、雪村は頬を染めて、あたふたとしだす。

「あ、あのっ、わ、私失礼しますっ！」

顔を真っ赤にして、雪村は慌てて部屋を出ていった。

「ふ～ん。面白そうなことになりそうだね～」

沖田が雪村の去っていった方向を、にやにやしながら見つめている。
何が面白いのか全く分からないが、私はそのまま無視をした。

「まあ、顔だけは綺麗だしなあ」

『俺の顔に何かついてるのか？』

「いや、何でもね」

じーっと顔を見てくるものだから、原田を見つめると、原田は苦笑いを浮かべる。

(自覚なしって怖いよな)

(それは左之もだろ)

原田と永倉がひそひそ話す中、斎藤が不意に話しかけてきた。

「そういえば聞き忘れていたと思うが、あんたはまだ正式な隊士ではない」

『どういうことだ？』

首をかしげると、斎藤はそのまま続けた。

「まだあんたは仮隊士だ。一週間経つと、正式隊士となれる」

『ふぅん。わかった』

何かあるのだろうか、と考えていると、藤堂が明るく話しかけてくる。

「ま、そんな固くなるなよ！普通に過ごしてればいいって！」

『ああ』

こうして、私の新選組での生活が始まった。