【薄桜鬼】～感情のない忍び～ (ページ3)

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新選組に潜入せよ

主にそう命令されて、私は京に来ていた。

さて、来たもののどうしたものか、と私は考える。なんと言っても新選組は女禁。女の私が入れる筈がない。

(男装しか手はないか…)

そう考えた私はいつもの変装道具を取り出し、男装をした。

どんっ

街中を歩いていると、走ってきた誰かに肩がぶつかった。ふと見ると、それは浅葱色の羽織をきた新選組の隊士だった。

「おっと、すまねえ！」

人懐っこい笑みを浮かべた少年は、私に頭を下げると、そのまま立ち去ろうとする。だが、ここで新選組に会えたのに、みすみす逃すわけにはいかない。私は咄嗟にその少年の腕を掴んでいた。

「？えっと…」

少年が困ったように首を傾げた所ではっ、とする。私はそのまま冷静に嘘をペラペラと述べた。

『引き止めて済まない。俺は新選組の隊士になりたいんだ。連れて行ってくれないか』

「うぇ？新選組に？」

少年は目を瞬かせた後、すぐぱあっ、と明るい表情に変わる。

「本当か！？んじゃ、俺と一緒に来てくれ！あ、俺は藤堂平助、よろしくな！」

にかっ、と笑うと、意気揚々とした感じに、私の腕を引っ張った

(案外簡単に入れたな…)

これなら仕事も直ぐに終わりそうだ、と安堵しながら、私は藤堂にくっついて行った。

「土方さん！」

「何だ平助か。もう巡察は終わったのか」

「おう！それよりな、こいつ隊士になりたいんだって！」

『初めまして』

目の前にいる黒髪の男に頭をさげる。すると、その男は少し驚いた後、意外な返事をした。

「そうか。これから宜しくな」

『…は？…あの、実技試験とかそういうのはないのですか？』

「ない。健康であれば誰でもいい」

『はぁ…』

何て言うかとても適当だな。

だが簡単に隊士になれたので、私としてはとても都合がいい。とっとと仕事を終わらせて帰ろう、そう思って私は土方と藤堂についていった。