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『か、かわいぃ〜〜!』
うん、それには同意。
目の前にはたくさんの猫が気ままに歩いている。
色々と買い物をした後、猫カフェに行きたいっていう、おれの希望を聞いてくれた。
『犬も可愛いけど、私は猫派かなぁ。』
だなんて、自分の好みとの共通点を見つけて心臓がギュッと掴まれたのなんて、1mmも気付いていないんやろうな。
隠岐「Aちゃん、意外と猫には好かれんのやな。」
『やっぱりそうだよね!?あんまり好かれてないよね!?』
しれっと変えた呼び方だって、気にする素振りもない。
『隠岐くんは、やっぱり猫にも好かれるんだねぇ。
周りいっぱいいて羨ましいなぁ。』
隠岐「Aちゃんも、別に嫌われてはなさそうやから、ちょっとずつ仲良くなっていけばええんちゃう?」
『確かに、私猫とか飼ったことないから、そういうのバレてるのかも。
その膝の子、すっごい可愛いね。』
隠岐「なぁ〜、大人しくて可愛いわ。」
『触ってもいいかなぁ。』
隠岐「目合ったら、ゆっくり瞬きしたらいいらしいで。」
『そうなんだ!』
へぇ〜と言いながら体を近づけてきた彼女にギョッとした。
思わず体が跳ねてしまい、膝の上の猫がびっくりして飛び降りてしまった。
『ありゃ、やっぱりダメかなぁ。』
ドッドッドッと、大きな音を立てて鳴る心臓の音が、目の前のAちゃんにも聞こえていそうで。
隠岐「(助けて、イコさん…!)」
「そろそろお時間になります。」
『あ、はい。ありがとうございました。』
『猫、かわいかったねぇ。』
隠岐「せやなぁ。」
『服も買えたし今日は楽しかったぁ。』
隠岐「そらよかったわ。また出かけよなぁ。
今度は、Aちゃんおすすめの映画行こや。」
『いいね、映画!また探しとく!』
本部へと向かうおれと、自宅へと向かうAちゃん。
方向が逆のため、ここでお別れだ。
あっさりとしているAちゃんは、おれと別れた後1回も振り向くことなくスマホを手に取り電話している。
多分出水くんやろうな。
何話してるんかな、今日のおれとのお出かけのことやったらいいな。
今ここで、おれが行ったら、そのまま奪い去っていけるかな。
まぁそんな勇気もないから、結局本部に帰るんやけど。
出水「いいか、そこの道を右に曲がるんだぞ。右!」
『流石にここからはいけるよ?』
出水「ダメ、お前すぐフラフラするじゃん。」
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作者名:通りすがりのいぬ | 作成日時:2022年3月7日 16時