うちの子はやらん！ ページ40
広報担当もこなし、A級としての実力も十二分に兼ね備えた嵐山にも、目下の悩みがあった。
彼が悩むことは大概、愛する弟妹のことに関してなのだが、例に漏れず弟のことに関してだ。
午前で任務を終えた嵐山隊は帰りながら嵐山のお悩み相談会を開いていた。
木虎「…珍しいですね、嵐山さんがミスするの。」
嵐山「すまない…。最近弟の様子がおかしくてだな…。」
佐鳥「副くんがどうかしたんすか？」
嵐山「今までは俺たちの活動にあまり口を出してこなかったんだが、最近になって防衛任務の相手は誰だ とか、今度本部に行ってもいいか とかやけにボーダーに興味を持っていてだな…。
兄としては危険だから足を踏み入れないでほしいんだが…。」
時枝「それっていつ頃からですか？」
嵐山「そうだな…、2ヶ月くらい前だろうか。」
木虎「あぁ……。」
どうやら、木虎と時枝には心当たりがあるようだ。嵐山に聞こえないようにコソコソと情報を共有する。
木虎「時枝先輩、ちょうど2ヶ月前に王子隊との防衛任務がありましたよね。」
時枝「そうだね。」
木虎「その時、なんの偶然か姫坂先輩と嵐山先輩の弟さんが…。」
時枝「多分、それなんじゃないかな。」
ちょうど2ヶ月前、防衛任務に当たっていた嵐山隊と王子隊はとリオン兵を追って街に出ていた。
幸い、危険区域を出る手前のところでトリオン兵を撃破したのだが、たまたまその場に嵐山の弟妹がいたのだ。
階級が上の嵐山隊に任せ、念のため一般市民の保護に動いた王子隊は必然的に2人を守ることになった。
副「あの……、ありがとう、ございました……。」
『いいえ。怪我はありませんか？』
優しい声色で自分の心配をしてくれる、歳上の綺麗な女性。
年頃の副が憧れを抱くのにはそう時間がかからない。
副「……あの。」
時枝「副くん。どうしたの？どこか怪我しちゃった？」
副「ううん。…あの、もうひとつの隊の、女の人。
名前なんて言うの？」
モジモジとしながら顔をほんのり赤く染め問いかける様子に、近くにいた木虎と顔を見合わせる。
時枝「姫坂先輩のことかな？あの人は姫坂Aさんだよ。」
副「そっか！ありがとう！」
パァと笑顔になった副を見送る。
木虎「姫坂先輩って、普段は色々と大雑把なのに歳下には好かれますよね。」
時枝「そういう木虎も好きなくせに。」
木虎「私は別に。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：通りすがりのいぬ | 作成日時：2022年3月7日 16時
