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天竺は終わってしまった。


王が死んだ。兵隊も捕まった。



「お前はもうお前の為に生きていいんだぞ?」

鶴蝶はそう言ってくれるが私の顔は晴れない。


『今更どうやって生きてけばいいか分かんないよ』




静かな病室で鶴蝶が私の手を握ってくれる

「そうだな…俺らは上手に生きられなかったもんな」

彼の足に倒れ込む



『…施設に戻りたい。イザナと鶴蝶と一緒にいたあの施設。1番楽しかった』



一時期だけ預けられた施設に2人は居た



帰りたい。お母さんに会いたいと毎日泣く私を連れ回してたのがイザナ。



『私たち、どこで間違っちゃったんだろうね』





「……さぁな」



誰も間違いを教えてくれなかった。



「お前…好きな奴とか居ねぇの?」


彼に膝枕されながら目を閉じて風を感じていると声を掛けられる




『居ないからこの空っぽな感覚があるんじゃねぇかよ。バ鶴蝶。』



実は不意に思い出した人物が1人居た







けど


『散々騙してんだから今更振り向いてくれる奴なんざ居ねぇっての』





胸が痛む。


「お前ホント、恋愛経験無いもんな。いるだろその顔は」




鶴蝶に嘘は付けない。




『分かんねぇよ。けど初めて、コイツには猫かぶりたくない。素でありたいって思ったんだ。』




『騙してたのがこんなにも胸が痛いのは初めてだ』







『なァ鶴蝶…。教えてくれよ。』





涙も言葉も止まらない。



布団にシミが沢山できる





『灰谷、灰谷蘭に…嫌われたくねぇよ…』






こんな気持ちは初めてだった。




イザナにも鶴蝶にも、もちろん斑目にも芽吹いた事の無い感情に涙が込み上げる







戸惑いと恐怖。





言葉に出してしまったら今まで以上に大きくなってしまった




灰谷蘭の存在。





お母さんも、イザナも教えてくれなかったこの感情を




どう処理したら良いか分からない。





助けて


今すぐ会いに来て


何とかして






灰谷蘭

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あいうえお(プロフ) - 一気読みしました何かもう作者様の書き方がうますぎて…見るのがすごい楽しかったです!! (2021年8月17日 8時) (レス) id: ace2dffc29 (このIDを非表示/違反報告)
煽。(プロフ) - Gonさん» 分りまする…拙者もツンデレ大好きでござる…性癖とは素晴しいのぉ( (2021年8月12日 18時) (レス) id: 3e2f3e976b (このIDを非表示/違反報告)
Gon(プロフ) - 煽。さん» 実は隠してた感情が…的なの性癖でして…(笑)拙者ツンデレ大好き人間でござる (2021年8月12日 17時) (レス) id: 5291ce1c35 (このIDを非表示/違反報告)
煽。(プロフ) - Gonさん» 好きです!(クソデカボイス)流石ですね(誰おま) (2021年8月12日 15時) (レス) id: 3e2f3e976b (このIDを非表示/違反報告)
Gon(プロフ) - 煽。さん» (無理な気がしてきたGON)いかがでしょうか?! (2021年8月12日 12時) (レス) id: 5291ce1c35 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:GON | 作成日時:2021年8月9日 6時

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