キセキとラノベ 3 ページ6
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「おはよう、棚倉さん」
声を掛けてきたのは、彼女の隣の席に座る同級生。
毎朝遅刻ギリギリに教室に滑り込む生田少年は、同級生でありながら酷く大人びた彼女に充てられ、惚れ込んでいる少年である。
彼は基本的に気弱そうに見える容姿でありながら、勇者さながらの無謀な勇気を併せ持つ特異稀なる少年だ。
そうでなければこうして、彼女と挨拶すら交わすことも無かっただろう。
「おはようございます」
視線を合わせ、簡素に返した朝の挨拶を最後に、彼女はその視線を本へと戻した。
素っ気ない返事ではあったが、少年にとってはそれで満足である。何とも現金で安上がりな幸せだった。
所謂朝学習と呼ばれるその時間は、自ら学習する時間であり、本を読む事やドリルやワークに取り組むなど、その時間の使い方は自由だった。
彼女は専ら読書に宛てていた。彼女にとって、心休まる時間が読書をしている時だ。
家でも休まらない訳では無いが、何だかんだ家ではゆっくりと読書をする時間はなかなか取れない。
その理由はおいおい、順を追って。
そんな訳で読書を至福とする彼女だ。基本、それ以外に興味が無い。
勉学は好きで、学ぶことも好き。
それは自分の知見を広める事が出来るからに他ならない。一つのことに延々集中し続ける行為自体、彼女が得意とする事である。
……だが、基本的に縛り付けられることを酷く嫌う彼女は、たまに授業を放り出す。ある意味不良少女だった。
中身が真面目であるだけに、ギャップが酷い。
とは言え、彼女がテストで点を落とすことはそう無いので、授業に出ないと言う非行を行っても、教師が彼女の成績から引ける点数は多くない。
そのことを心得ている厄介なサボり魔なのだが、その日、彼女は改心する。
一人の少年との出会いによって。
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西谷彩香(プロフ) - おは朝信者ならぬ虹村信者さん» コメントありがとうございます!この物語に出てくるラノベはあくまで私考案のオリジナルのものなので、架空のものになります! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
おは朝信者ならぬ虹村信者 - ラノベってうってんのかな? (2017年6月14日 19時) (レス) id: c944dad363 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» はい、多分次世代でも波乱を起こすのはお決まり、赤司家かと思われます。次世代主人公の彼女も、今後ともよろしくお願いします! (2017年5月15日 3時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
鳴神花音(プロフ) - 西谷彩香さん» テンションの高いあの人の子供でもあるらしいですからね。キセキとの絡みも楽しみにしています。赤司とか。 (2017年5月14日 21時) (レス) id: 7a206e086e (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!淡々と返す主人公は娘にあまり受け継がれはしませんが…主人公のそれをかのれからも生かして行けるように頑張ります!ありがとうございました! (2017年5月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2015年10月11日 22時