キセキとラノベ 28 ページ31
*
「……誰、と言うのは……どう言う意味かな」
「……深い意味はありませんよ。私が知る赤司征十郎さんに、あなたが該当しなかっただけなので」
「……該当しない、か。まぁ、確かにボクは赤司征十郎ではあるが……君の言葉を借りるならそうだね、ボクは赤司征十郎では無いのかもしれない」
彼女が知る赤司征十郎に似た穏やかな笑みを浮かべる彼に、彼女は距離を取ったまま返した。
「……随分と、達観していますね」
「自分の事をそう見れないのならそれまで、人の上に立つ器にはなれない……そう教えられてきたからそうしたまでだよ。……さて、君の話をまずは聞くんだったかな?」
先程とは打って変わって彼はほんの少しだけ意地悪そうに口角の端を上げた。
その様子に彼女は眉をひそめた。
「下手に手を出されるのは怖いので結構です」
「ふふ、ただの冗談に決まっているじゃないか。まだ手は出さないよ」
「……まだ?」
「あぁ、いや。……揚げ足は取らないで貰えるとありがたいね」
やれやれ、と言わんばかりの仕草を取る彼に怪訝そうな表情を浮かべつつも、彼女はあえてスルーして口を開く。
「……でしたら伺います」
「あぁ、いいよ。何かな」
「黒子さんに……何をしたんですか」
瞬間、赤司征十郎の眉がぴくりと動いた。
黒子の名に反応したようだった。
「……、何もしていないよ」
「その間は何です?後ろめたい事でも?」
「テツヤは何も話さないからね。君と関わりがあった事に驚いただけだよ。……だが、まぁ。疑問だね、何故君がテツヤを気にする?」
「気にしてはいけませんか?」
「不自然だと言っているんだ。噂はいくらでも聞いていただろう?大輝の事も、真太郎の事も、涼太の事も、敦の事も」
「……どうでもいいです」
「どうでもいいなら、構わないが。……質問に答えるなら、ボクは何もしていないよ。本当に。テツヤの様子がおかしいのなら、原因はむしろ大輝だろう」
「……そう、ですか」
「それにしても、君が気にするのがテツヤとはね。テツヤの事が好きだ……なんて言い出すつもりかい?」
「友愛ならありますよ。あなたにこうして尋ねたくなる程度には」
彼女はまだ、気付いていない。
その一言が、赤司征十郎と言う人間にどれだけの影響を与えてしまったのかを。
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西谷彩香(プロフ) - おは朝信者ならぬ虹村信者さん» コメントありがとうございます!この物語に出てくるラノベはあくまで私考案のオリジナルのものなので、架空のものになります! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
おは朝信者ならぬ虹村信者 - ラノベってうってんのかな? (2017年6月14日 19時) (レス) id: c944dad363 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» はい、多分次世代でも波乱を起こすのはお決まり、赤司家かと思われます。次世代主人公の彼女も、今後ともよろしくお願いします! (2017年5月15日 3時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
鳴神花音(プロフ) - 西谷彩香さん» テンションの高いあの人の子供でもあるらしいですからね。キセキとの絡みも楽しみにしています。赤司とか。 (2017年5月14日 21時) (レス) id: 7a206e086e (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!淡々と返す主人公は娘にあまり受け継がれはしませんが…主人公のそれをかのれからも生かして行けるように頑張ります!ありがとうございました! (2017年5月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2015年10月11日 22時