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キセキとラノベ 26 ページ29

*








「……人目も無くなりましたけど」


「そんなにこの僕が嫌?」


「言ったでしょう、気持ち悪いと。……それに、何故突然現れたんです、もう何年も会っていなかったでしょう」



彼女がそこまで言って手を振り解けば、手を引いて先を歩いていた花宮がついに、ニヤニヤと笑いながら振り返った。



「急に会いたくなっただけ、なんてのももう通じなさそうだなぁ?」


「当たり前でしょう、そもそも私の記憶のあなたは大半こちらでしたよ。今更取り繕ってどうするんですか」


「小学生の記憶なんざもう何年も前だろ?忘れてるかと思ってな」


「馬鹿にしないでください、忘れませんよあなたほどの人」


「そりゃあ嬉しいね、俺をずっと覚えてたんだろ?」



ある意味で忘れられなかったのはその通りだ。

小学生だった頃、彼女がまだ、普通に友達と過ごしていた頃からの知り合い。

とある事情で、その友達を無くしてからずっとそばに居た、年上の優しい男の子。


……それは幻想で、蓋を開ければただの性悪猫被りだった訳だが。

花宮が卒業して以来、会っていなかったのだが。今更何の用だろうかと彼女が思うのも無理はなかった。


しかし、花宮の口から零れたそれは、彼女にとっては甘美な囁きだった事だろう。



「今更かもしれねぇが。お前は帝光には向いてねぇよ。……悪いことは言わねぇ、こっちに転校して来い。その方が何かと楽だろ?」


「……えぇ、そうですね。下手に私立高校に行くより公立校に行きたかったのは認めます。……ですがそれを母が承諾するとも思えませんし、今更変える気もありません。それに……どうせあなた、もうすぐ卒業するでしょう」


「俺がいるいないで答えが変わったってのか?」


「……まぁ、知り合いがいるなら少しは安心しますから。悩む要素にはなりますけど、答えは変わりませんよ」


「……仕方ねぇ。じゃあ、今から一つ、選択肢をやるよ。俺は霧崎第一高校に進学する。来年まで待っててやるから、せいぜい悩めよ」



ニヤニヤとした笑みを崩さないままに言い放たれた花宮の言葉に、彼女はクスリと笑う。



「心配していると素直に言えば少しは考えたものを。ひねくれてますね、相変わらず」


「うるせーよ、ひねくれてなければ心配もしてないね。勘違いすんなよ」


「そういう事にしておいてあげます」








*

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西谷彩香(プロフ) - おは朝信者ならぬ虹村信者さん» コメントありがとうございます!この物語に出てくるラノベはあくまで私考案のオリジナルのものなので、架空のものになります! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
おは朝信者ならぬ虹村信者 - ラノベってうってんのかな? (2017年6月14日 19時) (レス) id: c944dad363 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» はい、多分次世代でも波乱を起こすのはお決まり、赤司家かと思われます。次世代主人公の彼女も、今後ともよろしくお願いします! (2017年5月15日 3時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
鳴神花音(プロフ) - 西谷彩香さん» テンションの高いあの人の子供でもあるらしいですからね。キセキとの絡みも楽しみにしています。赤司とか。 (2017年5月14日 21時) (レス) id: 7a206e086e (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!淡々と返す主人公は娘にあまり受け継がれはしませんが…主人公のそれをかのれからも生かして行けるように頑張ります!ありがとうございました! (2017年5月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2015年10月11日 22時

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