キセキとラノベ 21 ページ24
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クラスメイトが話しかけてきたあの日以来、確かに彼女は多少過ごしやすくなっていた。
あの日、「まずは利用してよ」と言われたその言葉をしっかりとその通りに解釈し、大いに利用した。
キセキの世代が寄り付くことも少なくなった。
黄瀬涼太はそれでもめげずにやっては来るのだが、彼女に話しかけた3人のうちの1人、深山が見事いつも追い返していた。
「あの子と!ちょっと喋りたいだけだし迷惑はかけねーって言ってるじゃないスか!?」
「そうやって騒ぎ立てること自体が迷惑になってるって気づかない時点で相当やばいことを今教えたから自覚して?」
「うぐっ……でも!あんたらだって同じようなもんっスよね!?クラスメイトだからって……!」
「たとえクラスメイトじゃなくても止めてるわこれは。度が行き過ぎてるんだよ黄瀬くんのは。分かる?嫌だっつってんのに近づいてくる男はストーカー、うちら女子からしたらただの不審者!普通に無理!」
「ストー……!?」
「モデルやってるし顔もいい、モテるの自覚してんのも何でもいいけど、誰もが黄瀬くんを好きになるわけでも、話しかけられて嬉しい訳でも無いの!嫌がってんだから引きな!これ以上近づいたらバスケ部の顧問に黄瀬くんが問題行動起こしたって言うから!」
完全なる論破だった。
利用云々を言ってはいたが、ここまで世話になっては、流石の彼女も申し訳なくなっていた。
「……あの、深山さん」
「どしたん?」
「……あ、…………ありがとう、ございます」
「いいって、私も真下も葉月も、好きでやってんだよ。……でもま、ど?そろそろお友達になってくれる?」
「……今それを聞くのはズルくないですか」
「チャンスかなって。ねぇ?葉月」
「んまぁ〜お友達作る気ないなら、うちらが勝手に名乗っとくからさ、そうじゃないって思っといてよ。そゆわけでー。これからもよろしく、棚倉ちゃん」
友達。
その響き、惹かれたのは事実だった。
作っても仕方ないことを知っていたから、避けていただけなのだから。
彼女が友達と思わずとも、勝手にそう名乗ると。
何がなくても仲良くなりたい。
そう言って彼女を認めたのは、彼女らが初めてだった。
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西谷彩香(プロフ) - おは朝信者ならぬ虹村信者さん» コメントありがとうございます!この物語に出てくるラノベはあくまで私考案のオリジナルのものなので、架空のものになります! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
おは朝信者ならぬ虹村信者 - ラノベってうってんのかな? (2017年6月14日 19時) (レス) id: c944dad363 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» はい、多分次世代でも波乱を起こすのはお決まり、赤司家かと思われます。次世代主人公の彼女も、今後ともよろしくお願いします! (2017年5月15日 3時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
鳴神花音(プロフ) - 西谷彩香さん» テンションの高いあの人の子供でもあるらしいですからね。キセキとの絡みも楽しみにしています。赤司とか。 (2017年5月14日 21時) (レス) id: 7a206e086e (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!淡々と返す主人公は娘にあまり受け継がれはしませんが…主人公のそれをかのれからも生かして行けるように頑張ります!ありがとうございました! (2017年5月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2015年10月11日 22時