キセキとラノベ 11 ページ14
*
「……、はぁ。何でも構いませんが、もう帰ってもいいですか?」
噂に関してはどうでも良かった。たとえその噂がひとり歩きしようとも、尾ひれはひれがついても、本当にどうでも良かった。
その噂のおかげで、自分に興味を持とうとも、近づいてくる人が居なかったから。
ただ、その噂を聞いて興味を持った誰かが、近づいてくるのならば話は別だ。
関わることが嫌いなのでは無い。でも、関わりたくはない。
制限される事が嫌いだ。「友達」を盾にされる事が嫌いだ。
知らないところで、勝手に嫌われる事が、嫌いだ。
「あぁ、何か用事があった、かな」
「用事と言うほどの用事は無いですが。……あなた程の人に構われると、嫌でも注目を浴びるので」
「なるほど。……確かに、オレといたら噂が更に大変な事になりそうだ」
「えぇ。それだけの思考があるのなら配慮していただきたかったところです」
つっけんどんに返した彼女に、どうにか表情を保っていたらしい赤司が、ついに笑い出した。
「ふふ、あぁ……久しぶりに笑ったよ。オレにそこまでハッキリと言ってくる人は初めてだよ。自慢のように聞こえるかもしれないが、オレを弾く人間に出会った事がなかったから。人にここまで簡素にあしらわれたのもね」
「……そうですか」
突っ込む事をやめた彼女の判断は賢明だった。
それでも、既に赤司の興味を引いてしまっているのだが。
「こうして話せたのも何かの縁。また話そう、棚倉さん」
「結構です」
食い気味にそう言って、彼女はそそくさと足を玄関へと進めた。
*
「噂だけでも随分と賑やかな人だと思っていたが……ふふ、確かに噂もしたくなる」
長く目にかかった前髪の間から見えた、射貫かんとばかりのその瞳。
全身で威嚇するかのような、隙のひとつも見えないその態度。
それら全てを引き立たせる、目を引く彼女の美しさ。
「明日も話しかけてみようか。どんな顔をするだろう。思い切り嫌な顔のひとつでもするかもしれないな」
むしろそれを期待しながら、赤司はその口元に愉悦の笑みを浮かべた。
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西谷彩香(プロフ) - おは朝信者ならぬ虹村信者さん» コメントありがとうございます!この物語に出てくるラノベはあくまで私考案のオリジナルのものなので、架空のものになります! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
おは朝信者ならぬ虹村信者 - ラノベってうってんのかな? (2017年6月14日 19時) (レス) id: c944dad363 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» はい、多分次世代でも波乱を起こすのはお決まり、赤司家かと思われます。次世代主人公の彼女も、今後ともよろしくお願いします! (2017年5月15日 3時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
鳴神花音(プロフ) - 西谷彩香さん» テンションの高いあの人の子供でもあるらしいですからね。キセキとの絡みも楽しみにしています。赤司とか。 (2017年5月14日 21時) (レス) id: 7a206e086e (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 鳴神花音さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!淡々と返す主人公は娘にあまり受け継がれはしませんが…主人公のそれをかのれからも生かして行けるように頑張ります!ありがとうございました! (2017年5月14日 20時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2015年10月11日 22時