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僕はただ、9 ページ10

*








神奈とて、洛山高校の生徒だ。合格したということは、そういう事。

そして神奈は、勘も鋭かった。



「……前から思ってたんだけど、トオが私に重ねてるのは、トオの好きな人だよね」


「……ほう、何故そう思う?」


「その時私を見る目がすごい優しいから。愛おしそうな目してる」


「へぇ。……それで?」


「私も何年か前にお父さんに聞いた事だし、会ったことはないけど……私には双子の姉がいる。多分、もしかしたら、トオが好きなのは私の姉さん?」


「……ふぅん、面白いことを言うんだね」


「仮にもしこれが当たっているなら、今までのトオの行動全てに説明がつくんだよ。初対面の私を助けたり、こうしてそばに置いたりしてること、全部に」


「…………なるほどね」


「だから、これは忠告。……姉さんにちょっかい出したら、私が許さないよ?」


「飼い主に逆らう犬でも演じるつもりか?」


「そう言えばトオ、言うこと聞かない犬、大ッ嫌いだったもんね。そうしようかな」


「僕に逆らうのか」


「いや、止めようとしてるだけ。何をしようとしてるのかは私、どうでもいいけど……突然秋田に行くなんておかしいって思ってたの。……どうせ、姉さん絡みでしょ」


「まだ僕は肯定していないけどね。君の姉が好きだなんて」



まぁ、僕とてわかりやすくしていたつもりだ。


神奈をなぜ、助けたのか。それは自分にとってメリットがあったから。

神奈になぜ、知っていることを教えなかったのか。それは教えたところでメリットは存在しないから。

そして神奈になぜ、分かりやすくしていたか。それは知られたところで僕にデメリットがないから。



「……まぁ、良いよ。神奈、君の予想通りだ。僕は君の姉……棚倉Aを好いている」


「やっぱり……!」


「……それを僕が認めたところで、神奈には何もする術がないけどね」



僕の言葉に神奈はぐっと言葉を飲み込んだ。

恐らくは、もう言い返す言葉が見つからず、屁理屈じみた何かしか出てこないことを悟ったのだろう。



「今僕が行っても、問題ないよ。神奈には一度、チャンスを与えるつもりだから」



君が選手として出たがっていた、WCへの思いを殺せるなら___ね。






*

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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2018年2月9日 19時

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