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僕はただ、8 ページ9

*








僕が神奈に示した取り引きのそれとなっていた「僕の要求をひとつ呑む」こと。

僕はただ一言、「僕の行く先に絶対に付いて来い」と、それだけを言った。


神奈はそれの意味することを理解していないのだろう、「そんなのでいいの?」なんて言っていたから、仕方なしにもうひとつ注文してやろうかと「バスケ部のマネージャー」を提示したところ、全力で拒否してくれた。



「私、バスケはサポート側じゃなくて戦る側だから!」



そう叫んだ神奈のバスケの腕前は、確かにすごい。本人いわく、京都府内でも有数の天才だの異端児だのと呼ばれるほどだとか。

僕には到底敵いはしない程度だが、女子バスケ界ならば充分な刃だろう。


少し鍛えてやろうか、なんて言えば、神奈は何故か恐れ戦き「そ、そんな、良いの……?」とビクビクしながら聞いてきた。

僕が鍛えてやろうか、と提案したのに何故そんなに謙っているのかを聞けば、どうも僕の名は関西にまで轟いていたようだ。


"あのキセキの世代をまとめあげていた最強のバスケ選手の赤司征十郎"にバスケを教えられることが現実離れしていると思ったようだ。

それならば、そんな赤司に拾われ救われ、養われている方がよっぽど驚きだと思う、なんて呟けば、それに関しては「もう慣れた」という始末。


そんな図太い神経を持つ神奈だから、僕のやることになんの興味も示さなければ、僕が何をしていても気にならないらしい。

「彼女」を探してくれと緑間に電話した時も、桃井から「彼女」の高校がわかったと連絡をもらった時も、だ。



「トオ」


「何だい、神奈」



気づけば、すっかり慣れたらしい神奈は僕を「トオ」と呼んでいた。

呼び方などどうでもいいと思っていたからこそ、特に何も言わずに流していたらこれが定着したらしい。



「何してるの、それ。見間違いじゃなきゃ、飛行機のチケットの予約に見えるんだけど」


「間違ってないよ、随分と目がいいね」


「どこに行くの?明日も普通に学校だけど」


「あぁ、勿論ちゃんと行くよ。これを使うのは週末だ」



神奈を引き取って数ヶ月経った夏の頃、桃井からの情報で彼女が自ら誠凛高校から離れていると言うことを知ったから、だ。







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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2018年2月9日 19時

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