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僕はただ、6 ページ7

*








僕の言った通り、既に応接室に三月の父と思しき人と、三月が怯えていたであろう祖父母らしき人達の姿が。

一瞬顔を顰めつつも、すぐにポーカーフェイスで無表情を装う三月は本物だろう。



「神奈!!こんな時に何をしてたんだい!!」



赤司の前ということも、三月の顔を見て忘れてしまったのか。老婆は声を荒らげ、三月に迫った。



「三月家の大事だよ!それに今日は二時半までには戻って用意しておけって言っただろう!!」


「……すみませんでした」



三月はしおらしく、名家の娘であると言うのがすぐにでも分かるような、そんな立ち居振る舞いで老婆に謝罪の言葉を口にする。



「お前の謝罪の言葉になんか、これっぽっちの価値もないわ!!どうするって言うんだい……!!」



そんな中でもずっと「……すみません」と謝り続ける三月の後ろにいる、僕がやっと目に入ったのだろう。

やかましく言い募っていた口は半開きのまま僕を見たかと思えば、今度は口をパクパクとさせ、呻き始めた。

そんな姿を見て、僕は口元に微笑を浮かべる。



「……まぁ、今回の件は全て僕の責任ですけどね。赤司家とは、あまり関係がないんです。僕が勝手にやった事です」


「な……っ」


「ですが……たかが高校生の僕が勝手にやっただけで没落するほど、三月家の地盤は弱かったようですね。ご愁傷様です」


「……っ、」


「……あぁ、それと。多少強引だったので、情けをかけようかとも思っていたんですが、それ程元気が有り余っていらっしゃるなら、必要なさそうですね」


「くっ……」


「それから……彼女、三月神奈とその父、三月颯生(そうな)さんは、赤司家が引き取らせていただきますね。もう、三月を名乗る理由も意義もないでしょうし、あなた方といようがここにいようが、大差ないでしょう」



それが恐らくは、トドメのセリフとなったのだろう。

ついに三月家の現当主のその人と、三月を捲し立てたその老婆が卒倒した。



「……これで君は自由だ、三月神奈」



ふっと小さく笑ってやれば、三月もその顔に小さく笑みを浮かべた。

その笑みは、やはり彼女に似ていた。








*

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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2018年2月9日 19時

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