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僕はただ、40 ページ41

*








その後も何やかんやと話し、俺は「初恋」に別れを告げた。


翌日京都に戻った俺たちは、清々しい気持ちだった。

ただひとつ、神奈が居なくなるということだけを除けば。


神奈も最後ああ言ってはくれたが、誠凛に転校して俺の側を離れていく。


だが、意外なことに「私、別にトオが嫌いだから転校するわけじゃないから!姉さんとずっと一緒にいるためだから!」と叫び、挙句の果てには「……嫌いじゃないし、だから、今度は姉さんと京都に遊びに行くから」とツンデレ宜しく俺に告げ、京都を旅立っていった。

色々あったが、今までにないくらい、とても濃い一年だった。


一番充実していたし、一番印象に残る年になった。


それもこれも全て、あの時、俺が彼女に惚れたことから始まっていた。

……もしかすれば、もっと前からだったかもしれない。


それでも、俺は今、何よりも得難いものを手に入れ、何よりも幸せだと、胸を張って言えるだろう。



「……ふふ、俺も偶にはやるじゃないか」



自分で自分を、ちゃんと制御してやれた。

もう、弱いからと逃げるだけの俺じゃない。


きっかけをくれたのは、黒子だったのか、彼女だったのか……洛山の仲間だったのか。

もしくはその全てだったのかも、俺には分からない。


それでも。



「征ちゃん!」


「……何だい、実渕」


「ちょっと寂しくなったわね。神奈ちゃんがいなくなって」


「そうだね。……でもまた、すぐに会えるよ」


「あら、何で?」


「神奈は神奈だったからね。本当、彼女に全く似ていない」


「あら、そうだったの。……でも、征ちゃん」



実渕が笑う。



「今、とっても嬉しそうよ?」



隠せないな、なんて笑って見せれば、実渕は「征ちゃんはもっとそうやって笑ったら良かったのよ」と言う。



「……まぁ、もう良いよ。それに今の俺にはバスケがある」



そうして、実渕に問うように言葉を投げた。



「……また、お前達と同じコートに……立っても良いだろうか」



一瞬キョトンとした実渕は、それから嬉しそうに笑った。



「もちろんよ!」




fin.

*

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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2018年2月9日 19時

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