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僕はただ、4 ページ5

*








どうやら、噂は本当のようだ。

僕はペンダントを握りしめる三月を見て、それからスマホを手に取り、電話をかける。



「……あぁ、僕だが。少し調べてもらいたいんだ。三月家の内情をね」



その後すぐに通話を切ると、驚いた顔で僕を見る三月の視線と交わった。



「……何だい?」


「だ、って……何で、」


「何度も言わせるな」


「……でも、おかしいよ。その……誰かに似てるってだけで、」


「仕方ないだろう。雰囲気だけならつゆ知らず、その顔が何より似ているんだ。……まぁ、彼女は敬語口調だが」


「知らないよ、そんなの……」



そう言って声のトーンを更に落とした三月は、肩も落とした。

そうこうしているうちに、先程の電話の相手___赤司家専属の情報師、所謂白ハッカーからのそれが届いていた。



「……なるほどね」



小さく呟けば、三月は何が、と言いたげに顔を少しだけ上げる。



「助けが欲しいなら、今すぐにでも僕が君を三月家から解放してやるが?」



僕は先程まで話していたトーンと変わらず、淡々と事実だけを告げる。

三月は何を言われているのか理解に時間を労したらしく、やっと理解が追いついたらしいのはそれから十秒後だった。



「え、えぇ……!?」


「どうした、逃げられるなら逃げたいんだろう?だったら僕の手を取れ、確実に逃がしてやれる」


「……そ、んなの、」


「……あぁ、そうだな。これでは僕が損をしそうだ。案じてくれてありがとう。……こうしようか。僕は君を助ける、そしたら君は、僕の要求をひとつ飲め。それだけでいい」



その交換条件を突きつけると、三月は怪訝そうな顔をした。



「……私を助けて、赤司くんの要求をひとつ飲むだけなんて、そんな簡単な話があるはずない。そんなの、何処に赤司くんのメリットが?」


「君には関係ないよ。ただ、これは僕のための偽善事業だから気にしなくていい。……さぁ、どうする?三月神奈」



僕の問いかけは、相手に選ばせるようで___実際、選択肢は一択だ。



「……お願い」



伸ばした手を、三月神奈は確かに握ったのだった。






*

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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2018年2月9日 19時

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