僕はただ、38 ページ39
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その後、ミーティングを経てホテルに戻り、自室で一斉送信のメールを作成し、送り付けた。
かつての仲間たち___キセキの世代に。
「俺は、きっとお前達に謝罪をしなければいかない。だが、俺がそれを言ったところで、そんなもの証明の一つにもなりはしないだろう。だから、言葉ではないもので示すことにしよう。
後数日、洛山は東京に残る。敦は無理にとは言わないが、二日後、場所は添付した地図の場所に、昼前に全員集合だ」
地図で示したのは、WCの会場から程近い公園にあるストバス。
そうして___それは、実現される。
昔のようにくだらない話をして笑い合って、ただただ、バスケを楽しんだ。
その後、帰ろうとした俺に、黒子が声をかけてくる。
伝えないといけないことがある。
そう言った黒子が俺に伝えてくれたのは、この先の___帝光中に程近い小さな公園で、彼女が待っている、ということだった。
向かう途中、黒子と会話をしながら歩く。
「それにしても、彼女から話だなんてね…もう俺とは会いたくないんじゃないかと思っていたよ」
「あ……いえ、その、こういう風に言うのは不謹慎だとは思うんですが……恐らく、彼女が会いたくないのは赤司くんじゃなくて、"僕達を苦しめた赤司くん"だと思うので……何というか、多分そういう事だと思います」
「分かっているよ。"僕"は黒子を、黒子の幼馴染を、そして彼女を絶望に追いやった。そんな"僕"にはもう、会いたくないだろうね」
「でも、彼女は……多分ですけど、例えどちらの赤司くんであっても、会っていたと思いますよ」
「黒子、矛盾しているよ」
「分かってます。……でも、そんな気がするんです」
そんな会話の末たどり着いたその場所には、昼前に俺よりも先に出掛けていた神奈、彼女の恋人だと言った高尾、そして棚倉A___彼女だった。
「待たせてしまったかな」
「いえ、約束の時間通りなので大丈夫です」
"僕"が必死に「忘れられないように」と植え付けたはずの感情も記憶も、リセットされてしまったかのようなそんな感覚さえ覚えるほど、普通の彼女。
嫌悪も、憎悪ひとつ感じない。
優しげな笑みを浮かべた彼女は、カバーのついた本を1冊手にして、続けた。
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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年2月9日 19時