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僕はただ、35 ページ36

*








止まっていた試合が動き出す。再開と同時に、得体の知れない何かを感じて、慎重にパスを回す。

一体何がそうさせるのか、俺にはまだ分からない。だが、間違いなく何かある。


葉山がゴール下まで攻め込み、火神を抜いた___と思った瞬間だった。

その背後から、予想もしていなかった誠凛のSGが現れる。


確実に虚を突いた動きだったはずなのに、火神に合わせて動く選手___。


そんなことが、まさか。

気づいてしまったその事実は、否定なんて出来はしなかった。眼前で起こったそれは、正しくその通りだろう。


ゾーンは、本来のゾーンは___



「そうさ……俺だけで戦うんじゃない、仲間(みんな)と戦うんだ……!!」



火神のその声が皮切りとなり、試合がまさかの展開に転がり始める。


このままでは負けてしまう。

本当に"僕"を否定してしまう___。


「RUN&GUN」の誠凛に、潜在能力(ポテンシャル)底上げの洛山。

それでも、洛山は押されていた。


……負けてしまう。

いいや、負けてはいけない。



火神の勢いを天帝の目(エンペラーアイ)で止め、アンクルブレイクで崩す。



「いいや……勝つのは……俺だ。洛山()を討つなど百年早い!」



残り時間1分を切った。

残り時間41秒、7点差。

残り時間27秒、4点差。


……勝てる。

その確信が、隙を生んだ。


帝王の意地が、もう一度シュートを決めると予想していたのだろう、PGの意地がそのボールをスティールし、繋げる。


だが、このゴールは、「撃たせてもいい」。

点差は4点、仮に3Pを決めようが、残りは8秒、1点差で洛山の勝利だと。


頭では理解していた。根武谷も、葉山も、黛も、実渕も。

分かっていても___そのパスは。



「……止めなければと、思わせられる」



小さな呟きは何処にも届かず、そして___実渕は、己の技にかかった。



「バスケットカウント、ワンスロー!!」



首の皮一枚繋がった、起死回生の4点プレイ。

まさか、本当にここまで俺を追い詰めるなんて。


誠凛は延長を選べない。間違いなく、ここで外してもう一度飛ぶ。

それを止めれば、洛山の勝ちだ。









*

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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2018年2月9日 19時

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