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僕はただ、34 ページ35

*








すっかりと意識が浮上し、"俺"は俺を呼ぶ声に反応した。



「オイ、……赤司?」



目を開け、監督の方を向く。



「監督、すみません……もうしばらく出してもらえませんか」



今の俺の目は、オッドアイではないだろう。本来の___赤色の双眼をしているだろう。



「誰とは心外だな。俺は赤司征十郎に決まっているだろう」



そんな俺の声に、言葉に、永吉たちが声を上げた。



「出してくれって赤司……さっきまでヨレヨレだったじゃねぇか!大丈夫なんだろうな……!?」


「ああ……見苦しい姿を見せた。それについては悪いと思っている。……すまない」



素直に謝罪の言葉を口にすれば、彼らは目を見開いて俺を見た。

……嗚呼、好き勝手やってきておいて、とても言いづらいセリフだな。

そんな思いを抱えながら続ける。



「もう一度力を貸してほしい。誠凛に勝つために」









きっと彼らには、このたった今の俺のパスだけでも十分だっただろう。

俺のパスを、受けたことがある者ならば。


黒子、と呼んだ俺の声に。

良いシュートだ、と褒めた俺の声に。


少しずつ、また、試合が動き始める。


良いパスは良いリズムを作る。

味方の潜在能力(ポテンシャル)を最大限に発揮させる、仲間(・・)と戦うことが前提(・・・・・・・・)の俺の力。


波に乗り始める。軌道は修正され、格段と動きが良くなっていく。

火神のガス欠に続く黒子の限界、最早打つ手なしの誠凛に、これからどう転がろうと負けてはならない。最後まで気を抜いては、いけない。


ボールを回し、最高のパスを出し、仲間がシュートし、得点となる。

もう、誠凛の勝ちはないだろうと。


誰もがここまでだと、そう思ったその時___

聞こえたのは、黒子を応援する声だった。


その声に感化されるかのように、かつての仲間たちの声が会場中に響く。

残りは2分、点差は7点もあると言うこの状況下で、誠凛は諦めていなかった。


本当に、しつこくてしぶとい。……知っていたよ、黒子。昔から、お前がそう言う奴であると。

……だが、もっと警戒しておくべきだったね。






*

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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2018年2月9日 19時

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