僕はただ、31 ページ32
*
結局僕は、自分から彼女の望まない方へと歩を進めているようだ。
もう、彼女が好きだから、なんてそれは理由にすらならないだろう。
準決勝、彼女は見に来ていた。
ほんの少しの、洛山が点差をつけられていたその場面に。
まぁ、来るとは思っていたけれど……あんなタイミングで来てくれるとは思っていなかった。
この際、とことん彼女に嫌いと言う「僕」への感情を植え付けようかとすら思う。
……少し熱くなりすぎたのかもしれない。高尾に対して、そんなにも苛立ちを感じていたのか、僕は。
だが、もう良いんだ。
もう、良いんだ。
何せ、次はもう決勝だ。勝ち上がってくるのは間違いなく誠凛だろう。
決勝の舞台で、彼女と向き合うことになるのだ。
＊
翌日、決勝。
会場入りする前、神奈が必死に携帯を操作しているのが見えた。
……この期に及んで、僕がまだ何かをすると思っているのだろうか。
僕にはその内容は分かりはしないが、会場入りした時に見えたマネージャーである彼女も、携帯を握りしめてほんの少しの微笑を浮かべていた。
試合前の軽い練習のためにコートに入れば、僕に近づいてくる影。
「……やっとここまで来たぜ、赤司」
僕の名を呼んだのは、火神。僕よりも背の高い彼を見上げるような形で一瞬だけ顔を見て、視線を逸らす。
「……前にも言ったはずだよ、僕と向かい合って言葉を交わすのはかつての仲間と……僕が認めた奴だけだ」
あぁ、目障りだ。
僕にこんなにも簡単に話しかけてきたことも、僕よりも上からものを言うその態度も。
すっと小さく動いて見せる。火神はそれに合わせて動いてくる。
……馬鹿だね。
火神は次の瞬間、バランスを崩し床に倒れていた。
「…次はないとも、言ったはずだ。頭が高いぞ」
秀徳戦の時のように、周りが固まる。
僕には、関係ないことだが。そう思いながら倒れた火神を通り過ぎてテツヤの元へと足を運んだ。
「…やあ、テツヤ。まさかお前が本当にここまで来るとは思っていなかったよ」
「お陰様で、ここまで登ってこれました。負けません」
宣戦布告を言い放つテツヤに、僕は鋭い眼光を向けた。
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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です！ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (
レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです！！これからも頑張ってください！！ (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西谷彩香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時：2018年2月9日 19時
