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僕はただ、27 ページ28

*








僕は今、何を目指しているのだろうか?

父が言う、「全てに勝ち、勝ち続けること」を目指しているのだろうか?


……否。恐らく僕が目指しているのは、彼女の瞳に映り続けることだけだろう。

僕は知らない。俺の事情など、知りたくもない。

俺が弱いせいで作り出されたのが僕ならば、僕はきっとあいつの代わりをやってみせなければいけないのだろうが、生憎僕と言う人格が生まれてしまった以上、僕も僕のしたいように動く。


これでもしも、俺が反抗するようならば。

「いつまでも父に怯えて、そうやって生きていけばいい」と嗤ってやろう。

そして、今度こそ"赤司征十郎"を乗っ取って、僕が彼女を。


そこまで考えて、ふと、どうして僕がそんなに彼女を欲しがっているのか、と言う当然の疑問が生まれた。



「……嗚呼、」



やはり。



赤司征十郎()への嫌がらせか」



それとも。



「本当に、僕が彼女に惹かれている?」



___嗚呼、そうだろうね。

___だって、君は俺なんだ(・・・・・・)

___惹かれ無いはずがないじゃないか。

___俺が欲しがった者を、僕が手放せるはずがない。



……考えるな、考えたら負けだ。

どうでもいい、どうでもいいんだ。


ただ僕は勝ち続ければいい。それが僕の存在意義で存在理由だ。それだけで十分なんだ。だから。



「……だから、余計な感情を数えさせるな、俺」



……明日の試合は、確か。

海常対福田総合。黄瀬と、灰崎の試合だったはずだ。

必死に違う思考を脳内に張り巡らす。


そうしたところで、俺の影が消えることはなく、ただただ僕を嘲笑っているような気がした。



「惹かれないはずがない……」



もしも、本当にそうならば。

僕は、初めから彼女を好きだったのだろう。


何とはなしに彼女に何度も迫ったが___そう言う感情を、知らずに持っていたのかもしれない。

今まで自分に言い聞かせ続けていたのは、怖かったからなのかもしれない。


いつか消えてしまう僕が本気で誰かを好きになってしまった事が、誰かに咎められ、そうして居場所を失ってしまうと___そう、無意識に思っていたのかもしれない。

勝ち続けるためだけの僕がそんなことを考えていたのだと、自分の事ながら、僕は初めて知ったのだ。









*

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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2018年2月9日 19時

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