僕はただ、23 ページ24
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試合が始まり少し経つと、神奈から連絡が入った。
どうやら、彼女は病院に向かったようだと。
後から追いかけてナースに聞いたが、「棚倉様以外はお通し出来ません」と門前払いされたと。
その後ロビーに戻って来た彼女と少し話したものの、「これ以上私に関わらないでください」と言い切られた、と。
そこで連絡は途絶えたので、試合を眺めながら神奈からの連絡を待つ。
第1クォーターがもうすぐで終わる、と言う頃になって、神奈からもう一度連絡が来た。
『お母さんは無事だったみたい。私の事、やっと妹だって認めてくれた。悔しいけど、トオには今までの事もあるから、教えるよ』
そして、彼女と神奈が今居るであろう病院の場所が、メッセージと共に添付された。
「……お前達。僕は席を外すよ。見たければ最後まで見ていて構わない。この試合が終わり次第ホテルに戻っていろ」
「あら、征ちゃん見ていかないの?この試合の結末」
「見ずとも分かるよ。何の問題もない」
「流石征ちゃんね。まぁ、私はお言葉に甘えて最後まで見ていくけど。小太郎は?」
「俺も見てくー!黛さんと永ちゃんも見てく?」
「……あの旧型も多少気になるからな」
「ま、まだ腹は減らねーし」
「そうか。それじゃあまた後で」
そう言って立ち上がり、すぐに会場を出て連絡のあった病院へと向かった。
タクシーを降りてすぐ、携帯が振動する。どうやら神奈からの着信らしい。
『あー、もしもっしー?今何処ー?』
「……病院の前まで来たが、責める趣味もいたぶる趣味も僕にはないよ」
『えー、折角姉さん一緒なのに?』
「お前は姉を苦しめたいのか。……まぁ、此処まで来たんだ、話すだけなら話そうか。ちょうど言いたいこともあったしね」
『りょうか〜い、んー、じゃあ待ってて〜。すぐ連れてくから!あー……じゃあね、トオ』
神奈はそう言って電話を切った。
少し病院のエントランスに近づけば、彼女らの姿を目視出来た。
「トオ、とは一体?」
「私も、多分姉さんも苦手な人。だけど……私の恩人でもあるから……ごめんね、姉さん」
「何故あなたが謝ったりなんて……」
まだ、「トオ」が僕だと分かってはいないのだろう。
それからこちらへと歩いて来た彼女は、僕を見てピタリとその足を止めた。
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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年2月9日 19時