僕はただ、19 ページ20
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彼女と会ってホテルに戻って来ると、何故か神奈は膨れっ面で、玲央が必死に宥めていた。
何方が世話係だか分かったものでは無い。
「……神奈、何をしている。玲央はスタメンだ、余計な気苦労を増やすな」
「原因は全部トオだから!」
「僕は何もしていないだろう」
「してないよ!だから問題なの!」
「してないなら問題が発生するわけ……」
「だってトオ、姉さんに会ってたんでしょ!?」
「……何故そう思う?」
「思ってないし、事実だし!私見たんだよ、キセキの世代が集まってるの!」
神奈はそう言って玲央から離れると、僕に詰め寄った。
「説明してよ!如何してトオが、私よりも先に姉さんに会ってるの!?」
「お前は僕を邪魔するために来たんだろう?ならば先手を打つまでだ」
実行したことに説明をつけて返せば、神奈はぐっと怒りを溜め込むようにした後、大きく息を吐いた。
「……分かった、もう私絶対トオの言うこと聞かないから!」
「構わないよ。ただ……京都にいる君の父親が突然職を失うかもね」
「っ、トオ最低……!」
僕の言葉に、泣きそうになりながら鋭い目付きで僕を一瞥し、そのままホテルの部屋を荒々しく開け放ち、何処かに行ってしまった。
「……征ちゃん、」
「……まさか、冗談だよ」
「冗談でも言っていいことと悪いことがあるわよ。……そんなに、その棚倉って子が、征ちゃんの特別なの?双子なんでしょう?神奈ちゃんは」
「双子だよ」
「……如何して、棚倉って子に執着するのよ」
「如何してだろうね。……まぁこれは、惹かれてしまったんだ。仕方ないよ、惚れた弱みだ」
「征ちゃんからそんな言葉を聞くなんてね。……でも、だからと言って、それは神奈ちゃんを傷つけていい理由にはならないわよ」
「分かっているよ。だが、僕だって本気だ。"俺"が欲しがる存在を、如何して僕がみすみす逃すと思う?」
「征ちゃん!」
玲央が僕の名を叫ぶのも無理はなかった。
それでも僕は、余裕の笑みを浮かべて見せたのだ。
「聞こえているよ。まだ僕は大丈夫だ。……きっと、もう少ししたら、自分で自分の制御も、出来なくなるだろうけど」
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西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年2月9日 19時