僕はただ、14 ページ15
*
僕自身、相当ひねくれている自信は確かにある。
神奈を傍に置いている事も、彼女に執着し続けている事も、"僕"が彼女を愛そうとしている事も。
ただの神奈への当てつけで、ただの僕の自己満足で、ただの"俺"への当てつけだ。
*
「トオ、WCっていつからだっけ」
「そんなの自分で調べておけ」
「でもだって要項とか何かあるよね?と言うか、ついて行くにしたって私、何すればいいの」
「好きにしろ、とは言えないから……そうだな、正太の手伝いでもしてくれ」
「正太?……あぁ、樋口正太さん?マネージャーの」
「あぁ」
「じゃあ、明日にでも聞いてみようかな。私、選手としては大会によく行ってたけどサポート側としては初めてなんだよね」
「だろうね」
WCの近くなって来た十二月上旬。こうして神奈がそわそわし続けているのも仕方の無いことかもしれないが、毎日毎日「WCっていつからだっけ」と聞きに来るのは正直やめて欲しい。
彼女に会いたいのは分かるが、僕だってずっと待っていたんだ。あの、秋田で彼女と会った時から。
どうしたものかと思いつつ、しかし僕は小さく笑みを零す。
「……ふふ」
楽しみだ。
彼女が、テツヤが、昔の仲間たちが、一体どんな顔を僕に見せてくれるのか。
僕を見て、紛い物だと思うだろうか。
それとも、「もうやめろ」と言うだろうか。
予想はつく。きっとどちらも思うことなく、そしてそれは本心だ。
何だかんだ、彼らは"僕"のことはどうでもいいようであったから。
「神奈」
「何?」
「……明日辺りに、部員にお前を紹介しよう。予定は空いているな?」
「え、……まぁ、空いてるけど」
「どうせ正太に会うつもりだったんだろう?丁度いいんじゃないのか」
「………まぁ、そうだね」
「不満か?」
「感謝こそあれど不満たっぷり。何なら夜通し聞かせてあげるよ」
「流石に遠慮するよ」
神奈は「そうですかー」と不満そうに言って、ジト目を僕に向けてくる。
そちらへ視線移せば、慌てた様子で神奈は目を逸らしていた。
*
151人がお気に入り
「黒子のバスケ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
西谷彩香(プロフ) - QOOさん» コメントありがとうございます。原作のストーリー沿いだったこともあり、全くと言って良いほど描かれなかった赤司様視点で書くのはなかなかに難しかったですが、そう言っていただけで光栄です!ありがとうございました。 (2018年3月29日 9時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
QOO - やっぱり誠凛VS洛山の試合は感動ものですよね・・・思わず泣いてしまいました。征君が夢主ちゃんに惚れたのもわかるような気がします。とても面白かったです!!これからも頑張ってください!! (2018年3月29日 8時) (レス) id: 5adcb33c47 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年2月9日 19時