好きな女性のタイプ : 優しい人

優しい人 4 ページ5

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『今日はありがとうございました。昼の握手会で握手させていただいた者です。

何故か黒谷先生の名刺が本に挟まっていて…申し訳ありません。誘惑に勝てずご連絡させていただきました。

不気味だとか、気持ち悪いだとか思われたら、無視していただいて結構です。


更中A』



そこで、僕はやっとこのメッセージを送ってきた相手が、昼間「自分と同類だ」と感じたあの女性であることに気付いた。

僕が望んだ通りに、彼女は僕に連絡をくれたようだった。


慌てて返信を打ち込む。



『こちらこそ本日は僕の握手会にわざわざご足労頂いてありがとうございました。連絡をしてくれるのを待っていました。あなたの本に、故意的に僕は名刺を差し込んだので…。

あなたの目を見て、僕と同じだと思いました。また、あなたと話す機会があればと思い、一か八か、名刺を差し込みました。

僕自ら望んだものです、無視はしません。あなたも、得体の知れない連絡先に連絡を入れるのは勇気のいることだったと思います。

連絡していただき、本当にありがとうございます。

もし、これからも僕と話してくださるのであれば、もう一度返信をください。


黒谷虎徹』



これで返信が来たならば、彼女にもう一度会える。

そんな期待混じりの思いを抱え、僕はプライベート用の端末のロックを解除する。


メッセージアプリに通知が来ていたのを確認して開くと、黄瀬くんからで。

笑顔でピースを決める黄瀬くんの写真と共に、『やっと主演ドラマがクランクアップして、今打ち上げ中っス☆』というメッセージが届いていた。

僕は無表情で『この写真は黄瀬くんのファンクラブのホームページにでも流しておきますね。きっとファンの方々喜びますよ。良かったですね。おやすみなさい。』と返信した。







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