好きな女性のタイプ : 優しい人

優しい人 23 ページ24

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あの後、赤司くんは言った。想いは自由だが振り回すなと。

君にだけは言われたくないセリフです、とだけ返して副社長室を出ると、ドアの前で待っていたらしい黛さんと降旗くんがいた。



「あ、お、黒子、」


「お久しぶりです。時々とは言え此処に来るのに、会社で会うのは何ヶ月ぶりですかね…？」


「…俺たちはアイツの直属だ。指示がなければ此処にいる」


「黒子が来る時は大抵指示出されてて社内にいないことが多いから…」


「そう言えば、そんな事を言っていましたね。…あ、降旗くん。彼女さんはお元気ですか？」


「え？あ、うん、まぁ…元気だよ。…大学の時さ、俺の友達の…うん、迷惑かけたよな」


「もう昔の話ですよ。…それに、そんな事言ったら高校時代の沙夜さんのことで、ずっと迷惑を」


「お前らそんな話は他所でやってくれ。……いや、降旗は駄目だな。もう帰れ、旧型」


「いい加減そう呼ぶのやめてもらっていいですか」



赤司の会社で働いている黛さんと降旗くんは、2人とも赤司くんの直属で働く部下らしく、基本的にパーティを組んでいるため一緒にいることが多いらしい。

僕や黛さんほどではないけど、降旗くんも昔より感情の起伏がなくなっていた。あれだけ赤司くん相手に怯え、腰が抜ける程に震えていた、所謂"チワワ"の降旗くんはもういない。



「はぁ……絶対また俺たちを定時であがらせない気ですよ…俺いい加減、彼女と一緒に晩飯食べたいんですけど」


「赤司に聞かれてたらお前死ぬぞ」


「一体あの人は俺の何を欲しがったんですかね…ほんとに俺何も出来ないって言ったのに」


「臆病なとこだろ。今でも赤司前にしたら足震えてんの知ってるからな」


「いやもう震えたりしてませんよ！と言うかもう怖くないですから！赤司なんてへっちゃらですよ！」



ただ、降旗くんの貧乏くじを引くその才能は、昔から変わらない。



「へぇ…降旗はもう俺に反論ができるのか」


「あ、赤司くん」


「ひぃ…っ」


「震えてんじゃねえか」






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