優しい人 22 ページ23
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赤司くんに連れられて来たのは、案の定、とでも言うべきか。
赤司グループ本社、副社長室…所謂、赤司くんの会社での部屋だった。
「此処は防音もされているし、何より俺の部屋だから誰彼構わず勝手に入ってくることはほとんどない。気兼ねなく話せるだろう」
「…そうですね。それで、彼女の事とは、何の話ですか?」
「先日、彼女が此処に来たんだ。内密にとは言われたが、まぁお前が知っても問題ないだろうと思ってね」
「はぁ…」
僕が怪訝そうな顔をして赤司くんを見れば、当の赤司くんは優雅に自然に脚を組んで、言い放つ。
「更中に、高倉奏楽を紹介して欲しいと頼まれたんだ」
「……沙夜さんを?何故ですか」
「自分が持っていないものを持っているから、会って話しがしたいと言われてね。更中が言う、"インスピレーション"に関わることだと思って教えたんだ」
「…それで、」
「その後は俺も良く分からない。…それで黒子、お前を呼んだ。最近、更中に変わったことはないか?」
「いえ、特には…」
赤司くんは僕をじっと見てから、続けた。
「…聞き方を変えよう。最近、更中に対して何か変わったことをしたか?」
「…変わったこと、とは」
「今までとは違う態度をするようになっただとか、黒子自身の変化の話だよ」
「…それは……」
あった。
いや、もしそれが彼女に影響していると言うなら、ある意味で喜ぶべき事なのか。
謎も疑問を溢れて消えない。でも、でも、だとしたら。本当に、それがどうしようもない位、真実だとしたら。
「……流石、新進気鋭の小説家、か。末恐ろしいな」
やれやれと苦笑する赤司くんは、「まるで高校時代のリバイバルだね?…それも、"僕"の」と呟いた。
そうはなりませんよ、と小さく返せば、赤司くんは「どうだかね」と肩を竦めた。
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西谷彩香(プロフ) - もみおさん» コメントありがとうございます!今作は、長く黒子が報われない物語を書いていたので、どうにか救いたいと思い書いていました。そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございました! (2017年10月19日 6時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
もみお(プロフ) - 少し遅くなりましたが完結おめでとうございます!!この小説思ってた以上に奥深かったんですね、、、だからこんなに面白い作品なんだなっと実感しました!!次回作も楽しみにしております! (2017年10月19日 4時) (レス) id: f58ea7ee52 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - もみおさん» 結構好き勝手書くタイプなので、そう言っていただけるのは嬉しいです!お気に入り作者まで登録してくださってるんですね!ありがとうございます! (2017年9月16日 17時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
もみお(プロフ) - 西谷彩香さん» よかったですwwww西谷さんの小説の書き方?や設定が好きなのですぐ読んじゃいました!!ちなみにお気に入り作者にも登録してあります(ドヤァ (2017年9月16日 17時) (レス) id: f58ea7ee52 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - もみおさん» コメントありがとうございます!大丈夫です!少女の憂鬱シリーズの一つなのでネタバレはセーフです!ありがとうございます、更新頑張ります! (2017年9月16日 17時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2017年9月16日 13時