好きな女性のタイプ : 優しい人

優しい人 13 ページ14

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彼女が僕の家に通い出して、もう半年は経とうかと言う頃。

テレビでも「浅間咲蘭」の名は世間に知れ渡り、魅了された人々は彼女がメディアに姿を現すことを希望した。


当の本人は、「先生との時間の方が大事なので、それを脅かされるとなると嫌ですね」なんて簡単に告げて、僕の隣で相も変わらずたくさんの素晴らしい曲を作り出していた。

彼女が成功し始めた辺りから、僕の人気にも拍車がかかった。

彼女が出した曲のすぐ後に出た僕の新作は、まるで彼女の曲を書いたようだとも言われたし、僕が新作を出したすぐ後に彼女が新曲を発表すれば、まるで僕の新作を見て書かれたようだとも言われた。


そんな話が世間に広まった頃、僕は改めて思った。

やはり、彼女は僕と同じだと。


感性が似ている。感じ方が似ている。考え方が似ている。想像力の働き方ですら、きっと似てしまっている。

ずっと隣にいる影響か、あまりにもリンクしすぎてしまっていた。


そんなふうに言われ、世間が疑ったのは僕と彼女の関係だった。


『最近人気の作曲家と人気小説作家、禁断の恋!?』


そう銘打たれた雑誌だって、多く発売された。

僕からしてみれば、仮に付き合っていたとして、僕と彼女の関係を咎める人物なんて存在しないし、何も禁断ではない。使う言葉を間違えていると言える。

何ともめんどくさいとボヤきながら、今日も彼女の隣で筆を執る僕も、大概だとは思うけど。





＊





「Aさん」


「何ですか？先生」



僕の声に返事を返した彼女に、僕は一言。



「いいんですか？」


「何も問題ないですよ！」



そんな返答をした彼女は、「先生との時間の方が大事ですから！」と笑った。







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