キセキとラノベ 328 ページ28
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「そう言われましても…ホントに、何も無いんです。私が望むものなんて、何も」
「何もないわけないじゃん、だって、俺を選んだ時点で"俺が欲しい"って望んだってことなわけでしょ?それとも…」
高尾が一瞬ニヤついて、彼女の頭を軽く撫でながら口にする。
「"彼氏が欲しい"って願いが一番で…俺って言う彼氏が出来ちゃったから、もう何も望まない_____…とか?」
「なっ…」
当たらずとも遠からず、だ。
実際、選べと言われて選んだ相手が高尾和成、彼だ。彼に救われた事も、多分、ある。
それらが一気に思い出され、結果、赤面して黙り込むと言う、何とも言えないレアな彼女を、高尾は目の当たりにしたのだった。
「…に、しても、Aちゃん、妹ちゃん見つかって良かったな!」
「私、存在を母から知らされるまで知らなかったんですけどね…」
「てか、双子なら妹ちゃんも誕生日な訳っしょ?なんか言われなかったの?」
「…特には………言われて、ない……です、けど…」
「けど?」
「…ここに来る前に、会って…引き留められました、今日、泊まってもいいか…と」
「…それ、一緒に祝いたかったんじゃねーの?なら、行かなきゃじゃん?俺はいいから、ほら、連絡してあげなよ」
「で、でも和成さんは、」
「俺となんて、いつでも会えるだろ!」
「…今日は、一緒にいるって、」
「だーめ。ほら、行きな?血ぃ分けた姉妹なら尚更だ。失わないって分かってるものこそ、ちゃんと大事にするべきだと思うからさ」
高尾の優しい声に、彼女は呟くように言う。
「それなら…言ってくれたら…良かったじゃないですか…!何も…何も言ってくれなかった…あの子は…っ」
「…ん、分かった。大丈夫、」
彼女は若干拗ねたように、それでも何処か妹への優しさを残したような、表現し難い表情を浮かべると、携帯を取り出してしばらく操作をした後、高尾の方を向いて、
「…すみません、ありがとうございます」
そう告げて、足早に歩き出した後ろ姿をぼうっと見つめた。
幼馴染の事を思い出して、"あの時と、同じだ"なんて思いながら。
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西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» お久しぶりです!花宮と夢主の関係性、また、夢主の知らない所で繋がる、影と妹。姉妹関係と、恋人関係…随分と厄介なことに自分から頭を突っ込み始めました夢主。…何はともあれ、今後も頑張ります!友達申請に関しては大歓迎です、いつでもどうぞ! (2016年11月20日 22時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
如月レン(プロフ) - 西谷彩香さん» お久しぶりです。ログインしました。 成る程、花宮と夢主は、そういう関係だったんですね。少しずつ、妹ちゃんと仲良くなるのに感動します。(笑)これからの展開が楽しみです。更新、頑張って下さい。 後、友達申請をしても宜しいですか? (2016年11月20日 22時) (レス) id: 84fcaaee34 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» 毎度コメントありがとうございます。今回「11」でのキーパーソンは妹の神奈と花宮になると思います。先が見えなくなってきていますが、着実に前に進んでいます。どうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします。 (2016年10月5日 18時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
如月レン - 西谷彩香さん» お久しぶりです。花宮の夢主が全てというような言葉が気になります。段々と展開の読めないストーリーなってきて、読むのが楽しみです。更新、頑張って下さい。 (2016年10月5日 17時) (レス) id: 84fcaaee34 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» 毎度コメントありがとうございます!そうですね、アメリカンジョークで無理矢理通した感は否めませんが(笑)そうですね、ここで答えを出す事で、この先を更に誰も予想できない方向へ持っていきたかったので、こうなりました。今後の展開にこうご期待ください! (2016年8月19日 18時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2016年8月1日 15時