ラノベ好き少女の憂鬱 11

キセキとラノベ 325 ページ25

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黒子の後ろ姿を見送って、神奈は小さくため息をついた。

＿＿＿＿＿＿＿＿すっかり、型になっちゃったな。


本来、私はこんなハイテンションではなく、どちらかと言えば、姉さんに近いものを持っている。


だがしかし、洛山高校にて、赤司に目をつけられて以来。あの冷たい目を向けられて以来。

無意識的に赤司(化物)を己から遠ざけるために。
姉さんを犠牲に、と言えば聞こえが悪いが、実際の所、あんまり変わんないよね、と思う。


あの瞳が怖かった。
自分を通して、何処か遠くの姉さんを映す、その瞳が。
全てが見透かされているかのような、あのオッドアイの瞳が。

私に姉さんを重ねていると気づいたその時から、有り得ないとは思ったけど、こちらに赤司(化物)の目が向かないように。

そのためだけに、物静か(私)はハイテンション(私)にすら変えてみせた。

まず、そんな私に驚いたのはお父さんで。
事情を説明すれば、確かに、姉であるAには悪いが目の前の娘の方が大事だと、そう言い切ったお父さんの言葉に、少なからず励まされて。


今思えば、それはしばらく会っていないとは言え、ほぼ差別に等しい言葉だったけど。

だけど結果的に、それのおかげで赤司(化物)からは逃れられ、こうも簡単に姉さんに会うことも出来た。
これから少しずつ、姉さんに本当の私を見せていけば良い。

そう思うと、気持ちが少し軽くなる。

会場の方に戻ってくると、姉さんの後ろ姿を見つける。

歩いていたそれは、どんどん早くなり、最終的には全力ダッシュで姉さんに突撃。



「姉さ〜ん♪」


「…びっくりするので、やめてもらってもいいですか」



敬語も完全には取れてない、そんな姉さんを可愛いなあ、と思いつつ、彼女の腕に腕を絡ませて笑う。



「そんなこと言って〜、妹に構われて嬉しいくせに♪」






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