キセキとラノベ 312 ページ12
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「神奈、私はあの時にあれ以上は関わらないと言ったと思いますが?」
「だって…あの化物が…"お前を連れてきたのは他でもない、Aをそばに置くための捨て駒だ"って…私の居場所を、作ったのはあいつで…その……東京にいる間だけでも、言うこと聞いてないと、私は…」
「…そうですか、ならいつまでもあの人の捨て駒でいてくださいね?私は手を差しのべるほど優しくありませんから」
「姉さん…」
落胆した様子を見せても、姉である彼女の決意は揺らがない。当然である。
「…じゃあ、どうしたらいいの、姉さん」
弱々しい声が耳に届き、そこで初めて、彼女はくすりと笑った。
「誠凛へ来ればいい。それだけの事です。なにか難しいことが?」
「誠凛に…?で、でも、父さんは、」
「きっと大丈夫です。自分の父くらい、信じるものだと思いますよ」
「…逃げたって、ならない?」
「なるわけがないでしょう?仮になったとして、あなたに危害を加えようと企てる輩がいようものなら、私が神奈を守ります。姉として、当然でしょう?」
神奈、と名を呼ぶ。
その声に、神奈は一歩、また一歩と近づいていく。
そして。
「姉さん…!」
彼女に、抱きついた。
それを抱きしめて、しばらくした後、彼女は神奈を自分から少し離して神奈の後ろへと鋭い視線を投げた。
「…私の妹を、勝手に捨て駒にしないでいただけます?赤司さん」
「それはすまなかったね。…ああ、僕の事は"征十郎"で構わないよ、A」
「…話の通じない人ですね、私の名を気安く呼ぶなと、前に言ったはずですが?」
「ああ。そんなの、僕が認めると思っていたのかい?」
「………いえ、」
「なら、いいだろう?君だって認めているんだから」
「_______...姉さんは認めてないから!!」
そこでやっと、姉から離れ、赤司に向き合い、声を上げた。
「勝手に呼んでるのはそっちだから!トオだから!!もうトオの支配は受けないし!姉さんの側に行くのは私だし!」
願望も降り混ざった叫びを赤司に向けて放ったのは、もちろん、
「私は!あんたの捨て駒じゃないし!ならないし!それこそ私、認めてないから!!」
___________覚悟を決めた、神奈だ。
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西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» お久しぶりです!花宮と夢主の関係性、また、夢主の知らない所で繋がる、影と妹。姉妹関係と、恋人関係…随分と厄介なことに自分から頭を突っ込み始めました夢主。…何はともあれ、今後も頑張ります!友達申請に関しては大歓迎です、いつでもどうぞ! (2016年11月20日 22時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
如月レン(プロフ) - 西谷彩香さん» お久しぶりです。ログインしました。 成る程、花宮と夢主は、そういう関係だったんですね。少しずつ、妹ちゃんと仲良くなるのに感動します。(笑)これからの展開が楽しみです。更新、頑張って下さい。 後、友達申請をしても宜しいですか? (2016年11月20日 22時) (レス) id: 84fcaaee34 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» 毎度コメントありがとうございます。今回「11」でのキーパーソンは妹の神奈と花宮になると思います。先が見えなくなってきていますが、着実に前に進んでいます。どうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします。 (2016年10月5日 18時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
如月レン - 西谷彩香さん» お久しぶりです。花宮の夢主が全てというような言葉が気になります。段々と展開の読めないストーリーなってきて、読むのが楽しみです。更新、頑張って下さい。 (2016年10月5日 17時) (レス) id: 84fcaaee34 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 如月レンさん» 毎度コメントありがとうございます!そうですね、アメリカンジョークで無理矢理通した感は否めませんが(笑)そうですね、ここで答えを出す事で、この先を更に誰も予想できない方向へ持っていきたかったので、こうなりました。今後の展開にこうご期待ください! (2016年8月19日 18時) (レス) id: 237a91988d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2016年8月1日 15時