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「あ゛ー
やっと、終わった…髪色くらい人の自由だろって。
でも、入試の為に黒に戻さなきゃなあ…」
スズは教室に入ってきて、私の前の席に座る。
『日本って厳しいもんね。』
と、自分の黒髪と見比べてみた。
『スズ、私はもう自分の髪の色なんて気にしてないから大丈夫だよ。』
そう言って微笑んだ。
「あれ?バレてた?」
『だいぶ前からね。
私が目立たない為に染めててくれたんでしょ?小学校も中学校も高校も。』
「少し違うかな。
私が髪を染めたのは、Aの為じゃなくて、私がAとお揃いにしたかったから。金髪に憧れてたってのもあったけどさ。」
「でも、Aが黒なら黒髪にしよー」と、スズはそっぽを向いた。
きっと彼女がいるから私は自分の髪の色なんて気にしない。って言えてるんだろう。
もし、スズが味方になってくれなかったら?
多分、自分が嫌いすぎて社会で生きていけなかったと思う。
『…ありがと。
私、スズのおかげで自分のこと好きになれた。』
「あ、枝毛」なんて、言ってる彼女の髪の毛を少し編み込みをして耳にかけた。
「別に、お礼言われるほどのことしてないよ。
それに、私だってAのこと大好きだから。」
振り返って笑うスズ。
「あ、そういえば、あのハゲがね!」
と、担任の愚痴を言い始めるスズ。
少し平和だな…なんて、思ってた。
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作者名:Ü | 作成日時:2017年11月23日 23時