71. ページ24
BGMのジャズ、周りのお客さんが話す声。カクテルパーティー効果と言っただろうか。私の耳は、喧騒の中でも若狭くんの声を正確に拾い上げる。
若狭くんのさっきの言葉を、何度も反芻して、答えた。
『……もう何も要らないよって、言ったつもりだったんだけどなぁ』
震えそうになる声を、必死で抑えて呆れたように笑った。彼の求めてた答えとはきっと違う。けれど意味は通じたみたいで。
若狭くんの瞳が、私を見据えた。
「苗字もらって、オレと同じ苗字になって。毎日一緒に寝起きして。家に帰ってきたら『おかえり』って出迎えて。……幸せにする。大切にするから、オレとずっと一緒にいて」
一言一句、噛み締めるように伝えられたプロポーズだった。
『……よろしくお願いします』
答えなんて他になかった。そう応えると、若狭くんは今までで一番綺麗な笑顔を浮かべた。それは心底嬉しそうな顔。そして、向ける視線は私のことを愛しいと、如実に物語っていた。
心の底から溢れてくる感情に追いつかなくて、涙が一筋零れた。若狭くんの手が伸びてきて、細くて長い、綺麗な指が頬を流れた涙を拭う。困ったように眉毛を下げて苦笑した。
「大切にするって言ったそばから泣くなって」
『ちがっ……これは泣いてない』
「いや、泣いてんじゃん」
『……違うよ。感情が溢れ出てきただけ。つまりこれは涙じゃなくて感情』
「それ屁理屈って言うって知ってる？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2070人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蘭奈莉逢瑠悲@カナリア:ルカ(プロフ) - やばい好き。これだからワカは最高なんだ (12月11日 0時) (
レス) @page44 id: 4d14879615 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんな(プロフ) - めちゃめちゃ最高でした(TдT)人生のバイブル？にします！子供4人は多いなw (11月4日 14時) (レス) @page43 id: c8a07ba8e1 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - とちさん» ありがとうございます、友人の布教活動のおかげ(？)ですかね……絶対役に立たないけどwwwwww (5月4日 10時) (レス) id: 1eabdc05d7 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - NIKOさん» 夢主の反撃が始まりますよォ！！ (5月4日 10時) (レス) id: 1eabdc05d7 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - ゆんなさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！続けることにしました！ (5月4日 10時) (レス) id: 1eabdc05d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あかね
| 作成日時：2022年4月19日 4時
