気まぐれごちゃまぜアニメ短編集。3冊目 (ページ43)

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【ヒロアカ】狙った獲物は逃しません。【おそ松さん】　ここ松さんリクページ43

癒羽 A ―Yuu―

雄英高校１年Ａ組

割と巻き込まれ体質な女の子。A組の常識人の一人。

個性【治癒】患部にキスするとたちまち治るぞ！！
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貴女side

つけられている…多分。確信が揺らぐほどに、それは微かな足音。気配すら一切感じない。かろうじて聞き取れる程度だ。小走りの私に対してゆったりとした足取り。おそらく大男だろう。切れかかっている街灯まで走ってから、くるりと後ろを振り返った。相手の足元しか見えないが、大きめの青い靴と高級そうなスーツであることは解った。

『誰、ですか？』

怖い怖い、怖いけれど。腹をくくるしかない。体力や筋力に自信はないから、このままではどの道捕まる。家の場所はもう割れているかもしれないし、このまま帰って小さな弟や妹に危害を加えられるわけにはいかない。他人に迷惑をかけるわけにもいかない、相澤先生風に言えば合理性に欠ける行動である事は解っている。が、それでもどうにかするしかない私一人で！！個性上、荒事には慣れている。怖いけど。

「Buona sera!」

低い耳触りの良い声が辺りに響いた。おそらく、イタリア語だろうか。カツン。と軽快な音がなると、街灯に照らされ漸く顔を拝むことが出来た。

『マツノ…カラマツ…！？』
「覚えていてくれたのか！！」

彼はその凛々しい顔を嬉しそうに崩し、無邪気に笑った。きゅう、と胸が締め付けられた。彼は我に返ると取り繕うように厚く形の良い唇を、三日月に歪めた。光栄だ、何て言いながら恭しく一礼してみせた。かっこつけと思われるその言動も、高級品であろうスーツや時計も、ムカつく程に様になっていた。それだけを切り取ったら、何処かあどけなさの残る美青年のように思われるが―。決して油断はならない相手である。

そう、彼は血で血を洗う冷酷無比なマフィアなのだから。伝統・格式・規模・勢力すべてにおいて別格といわれるイタリアの最大手マフィアグループであるマツノファミリー。彼はそこの実質№２。ファミリーきっての豪傑。肉弾戦において右に出る者はいない。ただの脳筋にも思えるが、そこは№２。騙し討ち、頭脳戦もお手の物。日系イタリア人のマツノカラマツ。

『…どうして、この国に。』
「…君の事が忘れられなくってね。」

視界が鮮やかな赤で染まった。薔薇だ。一輪の赤い薔薇。突然の出現にたじろぎ、後ずさる。

「A、どうか俺の――――」

彼が何か告げようとしたその瞬間、熱風が肌を撫ぜた。