【自企画作品】無気力少女は今日も生きたい【HQ/夢小説】 (ページ7)

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(いやもう流石に学校違うから変えてもバレたりしないとは思うけど……)

　そう思いたいけれど、相手はあの影山だ。
　突然抜き打ち検査なんかされたりでもして、巾着袋が変わっていたら小言が降って来るに決まっている。
　ダサくないのを選んで小言を食らうのと、ダサいのを選んで小言を避けられるならば誰でも後者を選ぶだろう。

(まぁ……便利だし、自分以外には使わないから良いけど)

　鞄の奥底にある巾着袋の事を思いつつ、帰ろうと校門を抜けようとした瞬間、またもや聞き覚えのある声が背後から聞こえた。

「あ――きりかちゃんじゃん！」

　可能ならば聞きたくない声ベストファイブに入る声を聞こえなかったと無視して足を進めたら、素早く進行方向に人影が。
　本能でサッと後ろを振り向いて別の場所から帰ろうかと考えていると再度言われた。

「きりかちゃんじゃん !! 」

　二度目の名前呼び。しかも親しそうに話しかけられ、チクチクと刺さる視線が出始める。
　だからこの人には関わりたくないのに、と数名の女子に睨まれているなと思いながら振り返って相手を認識した。
　そこには見覚えのある『元』先輩の及川徹の姿。

(あ、同じ学校に進学したのだから『元』じゃなくて『また』先輩か。それとも『もう』先輩？)

　色々と思考を巡らせていると接点が少ない筈のきりかに対して、及川は饒舌に話しかけてくる。きりかが迷惑そうにしているのもお構いなしで。

「何処かで見た事ある後ろ姿だと思ったら案の定きりかちゃんじゃん。飛雄いないのにわざわざ青葉城西(ここ)に来るとか、そんなに及川さんに会いたかったのかな？」
「……はぁ」

　この人は何を自意識過剰になっているのだろうかと、きりかは一歩後ずさって間合いを確保していた。
　この人が不必要に絡んでくる原因は影山飛雄の幼馴染、と言う特殊なポジションにいる所為だ。
　どうも二人は気が合わないと言うか、一方的に及川が影山を嫌っている雰囲気があり、からかいの一環として目を付けられてしまったのだ。
　普通の人だったら無視とスルーでどうにか出来る。でもこの『及川徹』と言う人物は一筋縄ではいかない、影山よりもひっっっじょうに面倒な相手なのだ。

(私の高校生活……生きて卒業出来るのかな)

　妬みの視線を浴びながら、きりかはうんざりと及川の事を見て思うのだった。