【自企画作品】無気力少女は今日も生きたい【HQ/夢小説】 (ページ6)

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朝の会話第一声から影山と比べられ、むっとしながら用意されているトーストを口に含む。
　ゆっくりと食べる時間はないので、水で無理矢理飲みこんで手早く済ませて言う。

「学校違うんだから出る時間違うだけ」

　きりかの言い訳にもならない言い分に母親は呆れ声で答えた。

「はいはい。そう言う事にしておくから。でもアンタもう高校生なんだから一々飛雄君に起きてるか確認させないでよね」

　その言葉に絶対に電話された事がバレていると、心の中で影山に向かって舌打ちしてやる。あのお喋りめ、と。
　玄関に迎い、ローファーを履いてドアを開く。

「行ってきます」
「行ってらっしゃい」

　母親の見送る声を聞きつつ、腕時計を見る。
　分かっていたがやっぱり走らなければ間に合わないとため息を付いてから、運動音痴なりの走りで学校へと向かう。
　通学路は覚えているので迷子になったりはしないので何とかなるが、走っているとなると別の問題が発生する。

「でっ！」

　何でもない所で何故か足がもつれて転ぶ。これだから運動音痴は面倒なのだ。なんで右足と左足は上手い具合に動いてくれないのだと。
　筋金入りの運動音痴で転ぶ事に慣れてしまい、流石のきりかも受け身を覚えた。運動音痴でも受け身は覚えられるのだと感心した昔が懐かしい。
　中学までは影山が居たので転びそうになるのに気が付いてもらえれば助けてもらえたが、別々の学校に通う様になったので、もう自分を助けてくれる手は出てこないのかとセンチメンタルな気持ちになった。

「いないものはいない」

　影山の過保護は疲れるのだし、何時までも頼るのもおかしい話だときりかは自分の両頬をパンと叩いて立ち上がった。

「ギリギリ間に合うから行こう」

　その後も結局数回転んでしまい、ギリギリ遅刻を免れて教室に入る事が出来、変に目立ってしまう事もなく、高校生活一日目をスタートする事が出来るのだった。

◆

　放課後になり、やっと帰れる、と思いながら膝を見た。
　結局何度か転んでしまった事で数か所擦り剥いてしまい、絆創膏を貼る羽目になった。
　すぐに転ぶから自前の救急セットは必需品となっていた。絆創膏から消毒液までしっかり入っている、セッターと書かれたクソダサい巾着袋。
　小学校時代に影山が用意してくれたのだけど、正直ダサくて変えたい。
　実は一回巾着袋を変えた事があるのだけど、その時の影山の文句の嵐に付き合いたくなくて致し方なく使う事にしている。