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カーテンの隙間から朝日が差し込んでくる。無気力にとって辛い一日の始まり、起床の時間だ。早く起きて身支度を整えないと学校の時間になってしまう。
起きようと布団から出て、枕元にある置時計に目をやる。目を擦ってもう一度見る。
時刻は七時を少し回った所。通学時間は二十分程掛かる。
「…………」
覚醒した頭で時間配分を計算する。
今から制服に着替えて、朝食を食べて、歯を磨いて顔を洗って、徒歩通学する。
「え、初日から遅刻?」
時間配分を考えたら歩いて行ったら遅刻する。かと言って慌てて食べて身支度を済ませて走るなんて、考えただけで気分が落ちる。
授業開始初日から遅刻なんてなかなかだし、目立つ。
遅刻しない様に今から慌てて準備を済ませても、走らないといけないし運動音痴の走りなんて碌なものでないから結局は目立つ。
「……よし」
色々と考えた結果、これはもう初日から休んでしまおうときりかは布団に潜り込もうとした。が、そう言う考えに至るのは今日が初めてではない。
つまり、行動を予測されている言う事だ。
ぴろりんぴろりん
枕元に置いてある携帯から着信音が鳴る。嫌〜な予感がしながら画面を見るとそこには『飛雄』と言う文字。
無視してしまおうか、と一瞬頭を過ったが無視したら夜どうなるのかは、きりか自身が一番理解しているので諦めて通話に応じる。
「……もしもし」
『もしもし、学校はちゃんと行けよな』
その一言だけ告げられると一方的に通話を切られた。幼馴染だからって流石に今の状況を予測し過ぎではないだろうか?
まぁ、それ程までに十年間の起きるのが苦手なのを理由に休もうとしてきた自分が悪いのだが。
電話された以上、このまま休んだりでもしたら自称兄面の影山に転校する様に言われそうで面倒。両親も影山の味方なので、少し本気になられそうなのでそれは阻止せねばならない。
理由は一つだけ。
高校でもバレー馬鹿に巻き込まれてまたあの地獄の運動部に所属するのが嫌だからだ。
「……しょうがない。行くとするか」
諦めてベッドから降り、制服に着替え、朝食が用意されているだろうリビングへときりかは向かった。
そこには洗い物をしている母親の姿だけで、父親の姿はなかった。もう出勤してしまった様だ。
「きりか。アンタこんな時間に起きて間に合うの?飛雄君とっくに学校行ったみたいなのに」
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umisorako - 書いていただいてありがとうございました!面白かったです! (2021年3月26日 18時) (レス) id: a64a528469 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛原櫻 | 作成日時:2021年3月24日 0時