邦楽ロックの短いおはなし

冷たい【斎藤宏介×川上洋平】 ページ16

『斎藤先生』







「なんですか？？？Aさん」









メガネを外しながら目をぱちぱちさせる、白衣の男性。







斎藤宏介先生。








わたしはこの先生が好きで保健室に通っている。









『斎藤先生は好きな人、いますか？』





「僕にいると思いますか？」





『はい』





「ふふ、Aさんは本当に面白いですね。いませんよ。








そんなAさんはいるんですか？」









ちょっといたずらっぽくメガネを拭きながらちらっと目線を合わせてくる。









『いますよ！』






「おお、同級生？」






『違います！』







「え？先生？ありがとう」







『いや斎藤先生じゃないですから』









口を前でばってん、と表すと、









「じゃあ、だれ？」









耳元で、甘い声で言ってくるのは、







この人は分かってやっているのだろうか。








くすぐったくて、首をかしげる。









『……川上先生です』







「あー！洋平くん！？めっちゃかっこいいもんねー。え？なんでなんで？」









急にいつものテンションに戻してくる先生に呆れ気味になりそうになった。









『川上先生、実は家近所で、昔よく勉強とか教えてくれてたんですよ』





「うん」





『でも、中学になってから全然話しかけてくれないし、話しかけても冷たいんですよ』






「うーん」






『どうしようかな…と』









わたしは、洋平くんが好きだ。







昔から、初恋を今にこじらせている。








「ま、自分でどうにかするしかないねー。あ、もうそろそろ下校時間だから気をつけて帰りなよー





ばいばーい」









手を振りながら机の書類に目を向ける先生。







この先生はちゃんと聞いてくれてるのだろうか。






…心配だ。









『…さよーなら』





「はい、さよーなら」







保健室を出た。









*








*


*









「＿＿＿＿＿＿＿川上先生が好きなんかー…」







*









斎藤先生がいたら学校毎日通って保健室行く自身ある

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