弟の友達がヤンキーとか聞いてないんですけど【波羅夷空却】

ひとりごと ページ45

『行って来ます！』

「うん、行ってらっしゃい」




今日、お姉ちゃんは、空却さんとデートをするらしい。

本当におめでたいなぁ。

お姉ちゃんと空却さんだよ？
僕の好きな人二人がくっついてくれたの。

僕は、お姉ちゃんの背中を押して、空却さんの気持ちをそれとなく聞いただけだけど。

この恋を、近くで見届けられて良かったなぁ。




「っくしゅ！……うぅ、さむ」




早く自分の部屋へ行こう。


＊


バンドの楽譜を読みながら、歌の練習をしていた時。

スマホに通知が来た。

きっとお姉ちゃんからだな。




「ふふ、楽しそう」




二人が笑顔でコーヒーを飲んでいる写真が送られて来た。

お姉ちゃんは可愛いし、空却さんもかっこいいし……美男美女でお似合いだ。

ただ一つ、悪い点があるといえば……。

三人ではめっきり遊ばなくなったことだ。

お姉ちゃんと外出したり、空却さんと遊んだりすることはあるけど、三人で遊ぶことはない。

何だか物足りない気分。

で、でも、僕のわがままを聞いてもらうわけにはいかないよね、うん！

それに……




「あ、あの子からの通知！」




僕の新たな恋も、芽生えようとしていたから。

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