くじら一家の末っ子くん part2 (ページ43)

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くじらが89匹ページ43

『人の命を、なんだと思ってるんだ……！！』

覇気の込められていない、ただの拳
それが頭の頬をぶっ飛ばした

「……さあ、逃げるぞ」

気絶した男を背負い、Aの肩に手を置いてサボはそうこえをかけた
どこか苦しそうなAにそれくらいしか声をかけられなかった

.

「あ！サボ君！こっち！！」

目立たない場所に止められている船から身を乗り出して声を出したのはサボの仲間コアラだった
3人と一匹は船に駆け寄った

「その子がサボくんの協力者？って、君すごい怪我だよ！？」
『え、あ、ほんとだ…』
「手当てするから乗って！サボ君はそいつ縛っておいてね」

コアラがAに笑いかけながら、こっち来て、と誘導する
医務室らしい場所につくと近くの椅子に座らされ、包帯等を巻いてもらう

「はい。これでOK」
『ありがとう、ございます』
「どういたしまして。君はどこから来たの？この近くなら送ってくよ？」
『あ、いえ、サーフボードがあるから…』

サーフボード？とコアラは使ったものを戻しながら聞く
するとサボが部屋に入ってきた

「よ、」
「よ、じゃないでしょサボ君！年下の子にこんなに怪我させて」
『あ、いや、俺がたてた作戦の結果なんで…』
「そう？」
「にしてもいい動きだったな。さすが海賊やってるっていうだけあるな」
「海賊？この子が？」

サボの一言にコアラはAを見つめた
Aは少しだけはにかんだ