第４６話 ページ46
「わざわざ仁川まで来てくれてありがとうございます、チャチュリヒョンニム」
「いいって。ソウルまで戻ったら手間だろ？ そう言えば、港に居た時誰かと一緒だったの？」
「はい。たぶんヒョンニムより若い男子学生さんたちと」
「泣いたのは……」
その人たちのせい、と訊いてきそうな兄に、慌てて否定の言葉を連ねる。
慌てすぎて、逆に少し怪しくなってしまったような気もしたが、兄は納得している様だった。
自分が連れ出した先の楽器屋でAがよくわからない青年に絡まれてしまったことを別れ際まで気にしていたようだったので、納得した様子の兄に安堵する。
兄の用事の具合について訊ねれば、返ってくるのはやはり曖昧な回答だった。
ガードの堅い兄から情報を引っ張り出すのは不可能なので、諦めて他の話題を探していると、車が街中で止まった。
まだまだ家までは距離があるはずなので、驚いて兄を見ると、目線で窓の外を示される。
その視線を追って、その先に次兄であるガンウがいることに気付いた。
街中であることなど気にせず、壁に背を預けてノートに何かを書き込んでいる様子を見るに、兄に迎えを頼んだのだろう。
運転中の兄にはそのまま残ってもらい、Aは車を降りてガンウに声を掛けに行く。
「お迎えですよ、ガンウヒョンニム」
「お、A。やっと来たか」
ニヤッと少しだけ意地悪な笑みを浮かべた兄はぐしゃぐしゃとAの髪を撫でまわした。
ノートを閉じて歩き出しながら、お前泣いたか、と訊いてくる兄は本当に聡い人だと思う。
港に行ったから、と短く応えて後部座席のドアを開けた。
先ほどまでは助手席に座っていたが、流れで後部座席に乗り込むと、長兄が少しだけ不満を口にする。
「かっこいいな、このギターケース。ヒョンニムに買ってもらったのか？」
「はい」
「ガンウが送ったのよりカッコいいだろ？ 文字入りだし、クールな片翼入り」
「ヒョンニム、オレがAにあげたソフトケースにも片翼ついてますよ」
「え、それホント？」
「はい。すみません、なんか揃いで良いかなと思ったんですけど」
あー、と少し悔しそうな声が長兄の口から洩れる。
そんな様子を見るガンウは楽し気で、そう言えばこのヒョンニムは昔からAの事に関して兄と張り合うのが好きだったな、と思い出した。
ケースについての話を少し続けた後、思い出したようにガンウがそう言えば、と口を開いた。
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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (
レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
繭(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します！これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：U_hi | 作者ホームページ：http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時：2018年2月19日 2時
