【AtR】桜花ニ月夜ト袖シグレ【歌い手】

5枚目 ページ6

「へー、毎年あそこの桜見に行ってるんだ」

「家から近いので。毎年の楽しみなんです！」

「確かにあそこの桜綺麗ですよね！」


その後の成り行きで一緒に登校することになったのだが先輩も相川くんも優しい人。

私の歩幅に合わせて歩いてくれたり、相槌を打って話を聞いてくれたり。


「桜芽？どうかした？」

「え？すみません！聞いてなかったです！」

「何も言ってなかったですよw桜芽先輩大丈夫です？ww」

「うわぁ、恥ずかし……」


色んな話をしているうちに学校が見えてきた。


「………そろそろ別れた方がいいですね」


2人に変な噂が出来たら申し訳ない。

手を振って離れようとしたら


「あの、手………離してください」

「気にしないで。今から俺に敬語禁止な。あ、まふも桜芽に敬語禁止」

「え、えぇ………！？」

「またそらるさんはそうやって僕を巻き込むんですから……少しだけだからごめんね、Aさん」


何が起こってるのかさっぱり分からない。

先輩は掴んだ腕を放してくれるような素振りは見せないし、相川くんは名前呼びになったし。

私が困惑している間にも学校は近づいてくる。

たくさんの視線が私に集まる。

この2人は毎日こんな感じなのかな。


「あの、先輩。もう学校なんですけ「ん？」…学校なんだけど」


先輩の笑顔の「ん？」が怖かったです。


「Aさんクラス何組？」

「2組だけど…」

「ですって、そらるさん」

「おっけ。スマホ貸して？」


戸惑いながらスマホを出すとメアドを交換される。


「ん。じゃあまた放課後？」

「ばいばーい、Aさん！」


相川くんにつられて手を振り返す。

ちなみに、その日1日は質問が止まなかった。

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