【歌い手】Finale【XYZ】

3杯目 ページ5

声がした方を向くと、私とさほど変わらない身長の女の子。

高校生だろうか？


なるせ「ああ、性別に関して言えば男ね。24歳」

『だ、男性……？この見た目で……？』

なるせ「夢なんだから何でもありなんじゃない？」


彼女、ではなく彼はあっけらかんと答えた。


『あの……お名前をお聞きしても？』

なるせ「言ってなかったっけ？俺はnqrse。なるせでもなるせちゃんでも好きなように呼んでよ」

『じゃあなるせさんで』


そう言うと堅いな〜となるせさんは唇をとがらせる。

行動や見た目は本当に女子高生にしか見えないから声とのギャップが凄い。


なるせ「まぁいいや。俺はるすくんから部屋の案内を任されたんだよね」


るすくん……とはさっき舞台の上で見た団長みたいな人のことだろうか。

いろいろと聞きたいことは山積みだが、彼に「こっち」と手を引かれ強制的に思考を止めた。


なるせ「ここが君の部屋ね」

『わぁ……素敵』


通された部屋はアンティーク一式で揃えられた内装で、誰が見てもオシャレだというような部屋だった。

すると一角だけ不自然に空いたスペースに目が移る。

何かがあったのだろうかと首を傾げていると、それに気付いたなるせさんが声を上げる。


なるせ「ごめん！そこに一個家具置くの忘れてた……」

『いえ、お気になさらず』

なるせ「すぐ置くから待って！」

『すぐ置くって………え？』


一体どこから家具を持ってくるのだ、と思っているとなるせさんは突然宙で指を動かした。

筆記体で文字をさらさらと書いたかと思うと、文字が宙で形となって浮かび上がる。


『なにこれ……うわっ』


見とれていたら突如光に包まれた部屋に絶えきれなくなって目を瞑る。

いいよ、と声が聞こえゆっくりと瞼を開くとそこには先程までは存在していなかったライトが出現していた。


『凄い……！』

なるせ「なんてったってFantasyの世界だからね」


パチンっとなるせさんはウインクを決めた。

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