トライアングル 4

88 ページ5

(美門side)


どこなんだ…っ、どこにいるんだ！



「彩……っ！」



俺の声は響かず、夜の海に消えていってしまう。


なんでこんなことになったんだっけ。



最近の俺は彩を悲しませてばかりだ。

彼氏なんて名乗る資格ないのかもしれない。


あんなこと、やはりすべきじゃなかったんだ……。



−2時間前−


「だから、無理だって言ってるだろ」

「立花さんがいるから？私はそれでもいい」


マネージャーの加藤が俺に好意を持っていると知って、

俺は加藤を拒むようになった。



そりゃ初めは、ずっと居なかった男子バスケに入ってくれたマネージャーで、バスケ経験者でもあったから期待したし、すげぇ歓迎した。


でも、この間2人でいる時に告白されて、俺は断ったんだ。



今回のバーベキューでも、また。

火がつかないからとか言われて、着いて行ったらゴミ置き場の裏のテントに連れていかれてまた告白された。



「私と付き合って欲しいの」


「それは無理だから。本当に」


その場を離れようとした俺の手を掴む加藤。



「待って。…私、美門くんに振られて何度も諦めようとしたの。でもやっぱり、諦められない」


そんなこと言われたって俺には彩がいるし、彩を裏切るようなことはしたくない。

89→←87

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す