ネコ騙し合い愛【黒尾鉄朗】

過去と境界線 ページ12

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『××くん、Aちゃんのことが好きなんだって』

『でも△△ちゃんが××くんのこと好きじゃなかった？』

『△△ちゃんって、Aちゃんと仲良いよね？』

『でも私、Aちゃん××くんのこと、何とも思ってないって聞いたよ？』





―――『修羅場、だね』






『なんでAはいつもそうやって私の欲しいもの全部持っていっちゃうの…？』

“＿＿＿”

『この、泥棒猫！』

“＿＿＿△△”

『友達だと思ってたのに。協力してくれるって、言ったくせに！』

“△△！”






大切にしていたものほど、終わりはあっけないもの。







「待っ、て」






そんな遠い昔の悪夢に魘されて、自分の掠れた声で目を覚ますと、背中に嫌な汗をかいていた。



あぁ、なんでこのタイミングで。



距離が近いものほど遠くに離れていくときは、言葉の通り一瞬。



遠いものほど、大切にできるって自信過剰になって。



他人を傷つけるくらいなら、自分が傷つけばいい。



そう思うくせに、自分を嘘で塗り固めて、周りを騙して、自分すらも騙して。



後ろめたさだって、勿論ある。



それでも自分を偽り続けるのは、自分なりの防衛線を張っているつもりなんだ。



ここからは踏み込んでくるな。互いが傷つかないために。



臆病になっているだけ。



怖いから。



だって、人って浅はかだから。



自分の敵だとみなした瞬間、今まで一緒にいた時間が、築き上げてきた関係が嘘かのように、残酷に消え去ってしまう。



裏切ったとか、裏切られたとか。



そんなの、もう二度と御免だから。







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