体温 ページ26
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「保健室に行きましょう」
ふらつく足取りで俺にしがみつくAさんは、立っているのも限界な様子だった。
意識も朦朧としているように見える。
「え、なに赤葦」
俺はAさんの前で屈んで、その手を自分の肩に乗せる。
「乗ってください」
「いいよ、歩ける」
この人は、いつも自分のことは二の次で。
自分の状況を理解していない。
「いいから」
俺は強引にAさんの体を自身の背に乗せて立ち上がった。
「あ、赤葦…！ちょっ、お、重くない…？」
「暴れないでください」
俺の背でジタバタ暴れるAさんは、心配になるくらい軽かった。
下ろせと騒いでいたAさんは、歩き出す俺に諦め、首に腕を回していた。
「ごめんね、赤葦」
背からAさんの体温が伝わってきて、熱い。
「無理、しすぎなんじゃないですか」
Aさんが放課後のクラスの準備を終えた後も、学校に残り学祭当日の演劇の発表の練習をしていると、前に木兎さんから聞いた。
「…これで迷惑かけてたら、元も子もないよね」
弱々しい声が、すぐ後ろ。
背に頬を当てているのか、声が少しこもって聞こえる。
「迷惑だなんて、誰も思っていませんよ」
「木兎にも、迷惑かけてる。…赤葦にも」
弱腰なその声に、彼女は今どんな表情をしているのだろう。
「単純に、心配なんですよ。木兎さんも、俺も」
木兎さんが彼女を俺に任せたのも、彼女に責任を感じさせないため。
「Aさんは、もっと誰かに頼ってもいいと思いますよ」
ワイシャツを、強く握られた気がした。
「…ありがとう、赤葦」
そんな震える声すら、愛おしいと思ってしまう俺はどうかしているのだろうか。
たどり着いた保健室には養護教諭が不在で、俺はとりあえずベッドに彼女の体を横たえた。
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凛々 - 赤葦と夢主の掛け合いが素敵…。甘さが私に合いすぎです！続きが気になって仕方ないです。 (2019年11月8日 20時) (
レス) id: df09ac0ca3 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 39話以降のタイトルのセンス良すぎでは…。全話タイトルつけてほしいくらいです。。。 (2019年9月23日 18時) (レス) id: c3e4fd17c8 (このIDを非表示/違反報告)
madoka - コメント失礼します。小鈴さんの作品は「これぞ純愛！」って感じがして、穢れが一切ない感じがたまらなく好きです！今回もいい感じのキュンキュンありがとうございます！番外編と続編も楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2019年9月20日 13時) (レス) id: b7f00b86d0 (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - あまーい！！実は木兎さんが主人公に片思いをしていたこともめっちゃ胸キュンでした！！本当に小鈴さんの作品大好きです！！！！！ (2019年9月19日 13時) (レス) id: 1ffe4440e9 (このIDを非表示/違反報告)
すいか(プロフ) - めっちゃキュンってくるのと、赤葦のかっこよさが、いつもより増してまじでよかったです！他の作品も読んでみようと思います (2019年9月18日 20時) (レス) id: 2af2bdbcf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年9月7日 19時
