好きの意味 ページ27
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それから数日後の放課後。
下駄箱で靴を履き替えていると、部活に向かう木兎と、(多分木兎のクラスの)女子がいて、思わず隠れてしまった。
「ねえ木兎、最近4組のAさんとよく一緒にいるよね」
「A?あー確かに言われてみれば」
自分の名前が出てきて、ビクッと身構えた。
肩に掛ける鞄を握る手に力が入る。
「それって、なんで?」
「なんで?なんでって聞かれてもなぁ、うーん」
すぐにわかった。
女の子が木兎のこと好きだってこと。
盗み聞きなんて悪趣味なことが良くないことだってわかっている。
でも、今ここで出て行くわけにもいかず、私はロッカーに隠れるようにして背を預け、二人の会話に耳を傾けていた。
「なんか、付き纏われてるって聞いたんだけど…本当?」
「付き纏われてる!?誰がだ!」
「木兎が」
「俺が!?誰にだ!」
「…A、さんに」
女の子が私の名前を出した瞬間、木兎の乾いた笑いが廊下に響いた。
「アイツはそんなことしねえって!むしろ付き纏ってるの俺だし!」
「えっ、そうなの…?」
「どう見てもそうだろうな!アイツのクラスのやつらは多分全員そう思ってるだろうよ!Aが俺のクラスに来たの一回だけだし。…忘れ物届けに来た時だけ」
最後の一言は、何だか拗ねたような口調。
「木兎は…その、す、好き…なの?Aさんの、こと」
「え?あーそりゃあ、好きだぜ!」
心構えする前に、サラッと…。
それって、どういう、好き…?
「へ、へえ。そう…なんだ」
女の子の声が、涙声だ。
「え、ちょ、なに!?俺何か変なこと言ったか!?」
顔を覗かせると、手で顔を抑える女の子に、木兎がどうしていいかわからない様子であたふたしていた。
「俺がAのこと好きって言ったからか!?」
―――木兎は、優しいから。
「お、俺はお前も好きだぞ?な?だから泣くなよ!」
ひっく、と女の子が涙を必死に拭ってる。
木兎の好きは、友達の好き。
ツーと目から何かが流れた。
―――――私は、木兎が好きなんだ。
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アニメしか勝たんっ!! - やっぱり、木兎さんはかっこいい...! すっごくキュンキュンしました! それと、赤あしの片思い... 素敵な作品ありがとうございました!! (2021年9月6日 19時) (レス) id: a9d6af11eb (このIDを非表示/違反報告)
しきし(プロフ) - 木兎が好きで色々な木兎作品を読みますが、結局小鈴さんのこの作品に戻ってきてしまいます、何度読んでも好きです!! (2020年8月21日 20時) (レス) id: 46b82dd2cd (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 尊い。私ごときの語彙力じゃ表せないです。なんか、もう、尊い。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 4e49721770 (このIDを非表示/違反報告)
c.f(プロフ) - 番外編読みました。私のツボを抑えておられますね…最高です。そして実は短編集とかもいける口では…?と思ってしまうほど纏まった内容でドキドキが止まりませんでした!また更新楽しみにしてます! (2019年10月4日 21時) (レス) id: 05c431cb99 (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 通知がきて飛んで来ました!やっぱり木兎さんの書き方上手ですね。強引な感じも好きです。そして作者さんも好きです。これからも楽しみにしてるので更新頑張ってください!!! (2019年10月3日 18時) (レス) id: 1247715456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鈴 | 作成日時:2019年7月30日 20時