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ほつれたリボン ２−�� ページ32
ポルターガイストのピーブズは舌を出し、シャルルの正面を物凄いスピードで擦り抜けていった。胸に氷を投げ入れられたような感触だ。不快というより不思議なそれを追って胸に手を宛てた。
ピーブズは心なしかむっとしたようにあぐらをかく。シャルルは鼻で笑って「もう行っていい？」と尋ねる。ピーブズは無視した。
「かーわいい一年生ちゃんがそんな顔していーんだ？」
ピーブズはシャルルの人を食った態度を見咎めているらしい。シャルルは彼に飽きていた。「お生憎、俺は人間なんだ」と言っておざなりに手を振り、正面から通り過ぎる。
ピーブズはシャルルの緋い髪を結い上げている黒いリボンを掻っ攫い、叫びながら消えていった。
「悪い子だ！ わあぁぁぁるい子だあ！！」
けたけた全身で笑うと帽子の鈴がけたたましく鳴り響く。廊下の絵画達が何事かと顔を出し、口々に血みどろ男爵の名を呼び始めた。
こめかみがずきずき痛い。シャルルは最近、気分が落ち着かない。それはおそらくシャルルと前世の自分が混ざり合った弊害だろうと推察していたので、医務室には行っていなかった。
シャルルは内心うんざりしつつも、いなくなったピーブズに手を振りながら手櫛で髪を梳いた。
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作者名：砂な | 作成日時：2023年3月25日 23時
