断頭台で待ち合わせ (ページ33)

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ほつれたリボン　２－③ ページ33

扉の前で「穢れた血！」と意気揚々と告げ、談話室から部屋に入ろうとしたとき中で物音がした。構わず開けると、気弱な方のルームメイトがこちらに気づく。
　聞くところによると彼はマグル生まれらしい。スリザリンは上も下も純血主義が大半を占めているのでさぞかし居心地が悪かろう。いくらか歳を召した者なら品位を落とす真似はしないが、シャルル達は成人にも満たない。そうなると無視か虐めの二択を迫られているも同然だ。

　シャルルはいつも通り微笑みかけたけれど、彼は今しがた胸に掛けようと引っ張っていたブランケットを離して脱兎の如き勢いでシャルルの横を駆け抜け談話室を出て行った。その背中を半眼で見送り、気分が下降するのを感じながらベッドによじ登る。

「君、部屋を移ってくれないか？」

　真横にからの言葉を受け、シャルルは天蓋から下りるカーテン越しに隣のベッドを覗く。声の主である黒人のルームメイト、ブレーズ・ザビニがこちらを見上げて目を擦っている。眠っていたのだろう。皆考えることは同じらしい。

「どこの部屋に行っても怖がられるだけだから変える必要性を感じないんだ」
「君はそうかもね。でも、僕は、迷惑だ」

　彼は切り口上で言い捨て、それきり横になって目を閉じてしまった。枕元には日刊予言者新聞が置いてある。彼の鼻先を掠めているＧから始まるリード文は小鬼(ゴブリン)の権利がどうのこうのというくだらない(ヽヽヽヽヽ)コラムだったが、シャルルの脳裏には“グリンゴッツ侵入さる”と書かれた紙面が浮かび上がっていた。

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