ほつれたリボン １−�� ページ27
「ポッター！」
問一、アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか？ 答は眠り薬。あまりに強力なため、『生ける屍の眠り薬』と言われている。
問二、ベゾアール石を見つけるにはどこを探せばよいか？ 答、山羊の胃から取り出せる。これはたいていの薬に対する解毒剤となる石である。
問三、モンクスフードとウルブスベーンの違いは何か？ 答、違いはない。それらに加え、アコナイトとトリカブトも同様である。
シャルルは羊皮紙にすらすらと筆記した。ワンシーンを暗記してしまうほど、当時はこの物語のことならいくらでも考えていられたものだ。
その間にも栗毛の少女が高々と手を挙げている。シャルルが名前を思い出す前に、ポッターは「わかりません」と答えた。スネイプはせせら笑って「ベソアール石を見つけて来いと言われたら、どこを探すかね？」と言うので、少女の手は限界まで高く伸ばされ、ドラコ達の笑い声が聞こえた。ポッターがスネイプを真っ直ぐ見つめて「解りません」と答える。スネイプは嗜虐的に上唇を捲れ上がらせた。彼はどこにいても虐められる。
仄かな同情を感じながらシャルルは開いた教科書と羊皮紙を並べ、時が過ぎるのを待った。グレンジャーを指名したポッターの「彼女に質問してみたらどうですか？」という言葉に数人の生徒が笑い、それにスネイプが「座りなさい」と不快そうに返す。
暗い教室にはがりがりと羽根ペンの音だけが響いている。またある種の不安感が足元から迫り上がってきて、シャルルは独り頁を捲った。スネイプはそんな彼に一瞥も寄越さず、グリフィンドールを減点した。
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作者名：砂な | 作成日時：2023年3月25日 23時
