■ 記録15 ページ17
「なんの、ことでしょう?」
「え、いや、ここまで来てしらばっくれるつもり? 呆れるわー、ピウス君って結構頭いいと思ってたんだけどね。もうバレてるって分かってるでしょ? なんのつもりか知らないけどさ、これ以上やると、僕本気で殺しかねないよ?」
ピウスの目が細まる。
それは、先程目の前の男に殺しかけられたとは思えない程に堂々としていた。そんなピウスに微笑み返すアルマの美貌も普通ではない。
ただ、サエウムだけがこの状況についていけていなかった。
「……やっぱり、アルマさんって、凄い、ですよね」
「んー、そうかい? どこら辺が?」
いつもならすぐに認めて尊大するアルマが平然と聞き返した。ピウスはそれに驚くこともない。
「その顔もそうですけど。……頭の回転も、早いんだなぁって」
「……何、掌で踊らされてた僕への当てつけ?」
アルマには嫌味だと捉えられたがピウスにそんなつもりは毛頭なかった。
「んなわけないでしょうに。……褒めているつもりですが?」
「あっは、そう。……僕さっきから君への怒りが収まりそうにないんだけどさぁ、どうしてくれるわけ? 僕がサエウムに殴られるのも計算済みとか言い出したら、本気で殺しちゃうかも」
あはは、と乾いた笑みを洩らすアルマ。
もうそこには狂気しかなかった。元からまともな何かがあるかと言ったらそうではないのだが。
知りたいという欲求は、人間のよき本性である。そんな偉人の名言に乗っ取って、ピウスはアルマの本性を知ろうとした。
結果、進歩はなかった。ただ、同僚が、自分が狂っているということを自覚しただけであった。
"わざと"アルマの前で仕事に身が入らない所を見せ"わざと"サエウムとの会話を聞かせ"わざと"隙のある所を見せて、こうなるように仕向けたのは全てピウスである。
何故そんなくだらないとされることにまで命を賭けることが出来るのか。答えは一つ。
ピウスもアルマと同類だから。
それも、自覚しているパターンだ。厄介なことにアルマ以上に頭が回るピウスは、どうしたらアルマがそう動くのか、仕事の片手間で全て計画していたのである。
計算外だったのがアルマに勘づかれるということ。
あのアルマだ。自分が嵌められたと気付けば何をしでかすか分からない。どうしても避けたく、気を張っていたのだ。
いや。冷静になれば、俺が何故"アレ"を使わなかったのか分かってしまうか。
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あき(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 返信遅くなってしまい誠に申し訳ありません!とっても嬉しいです、ありがとうございます!もうそろそろ更新できそうなので頑張りますね!ピウスさん私も好きですよー。 (2020年9月26日 21時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 沢山のお褒めの言葉、とても嬉しいです、ありがとうございます!これからも面白い作品作りに精進して参りますので、応援の程宜しくお願い致します!あ、私もピウス君好きです! (2020年9月20日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(´`)(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼します…! え、え、凄く面白いです…! 個性的なキャラや、言い回し、圧倒的な文章構成力…!! しっかり作り込まれた一次創作本当に好きです…。文章だけでピウスくん好きになりました(*´`*) (2020年9月20日 23時) (レス) id: 554c742bde (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - サワーさん» さわんぬぁぁぁ!そう言ってくれて嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張るのでよろしくお願い致します! (2020年9月16日 17時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - サワーさん» 二人で一生懸命練り上げたキャラクター達なので、そう言って頂くと本当に嬉しいです!これからも、サワーさんのことを飽きさせない作品作りに努めますので、応援宜しくお願い致します! (2020年9月15日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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